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書籍一覧


『新版日本の移民国家ビジョン』

          (2018年9月、移民政策研究所刊)

本書『新版日本の移民国家ビジョン』において日本型移民国家の生い立ちと人類社会の未来像を余すところなく描いた。移民と共に歩んだ人生の年輪をこの一作に刻んだ。移民政策研究の集大成にしたいとの思いを込めてこれを完成させた。坂中英徳の移民政策論文集の最後を飾るこの著書が、移民国家理論のバイブルとして歴史の風雪に耐え、日本のみならず世界各国の人々の間で読み継がれることになれば最高の喜びである。
日本人の和の精神の結晶である人類共同体思想が、22世紀の移民黄金時代に生きる地球市民たちが永遠の世界平和を目指して立ち上がるときの「みちしるべ」となることを祈念し、この論文集の結びの言葉としたい。

 


『今後の出入国管理行政のあり方について』

             (自費出版、1977年)

1975年2月、法務省入国管理局は、同年10月に出入国管理行政発足25周年を迎えるのを記念して、全国の入国管理局職員から「今後の出入国管理行政のあり方について」の課題で論文を募集した。出入国管理行政が転換期にあるとの認識の下に、その将来を方向づける論文をひろく職員から求めたものである。当時、入国管理局参事官室に勤務していた私も応募した。審査の結果、私の書いた論文『今後の出入国管理行政のあり方について』が優秀作に選ばれた。
1975年の論文に加筆し注釈を加えたものを、1976年5月号から1977年8月号の『外人登録」(外国人登録事務協議会全国連合会編、帝国判例法規出版社発行)に掲載した。
そして1977年12月、『外人登録』に連載した論説を一冊にまとめ、『今後の出入国管理行政のあり方について』の表題で自費出版した。その目次は以下のとおりである。

はじめに

一 出入国管理行政の意義

1 外国人管理の歴史

2 現代世界における外国人管理行政の占める位置

3 出入国管理行政の機能

二 今後の出入国管理行政のあり方

1 国際社会の動向

2 国際政治の動向

3 人権の動向

(一) 外国人の人権保障の歴史と現状

(二) 外国人の政治活動の規制

(三) 人権関係諸条約と出入国管理行政

(1) 国際人権規約

(2) 難民の地位に関する条約

(3) あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約

4 国際間の人口移動

(一) 我が国の出入国管理の基本政策

(二) 開発途上国から先進国への人口移動

(1) 外国人労働者問題

(2) 頭脳流出問題

(三) 不法な国際間の人口移動

5 在日朝鮮人の処遇

6 非常事態と外国人管理

7 出入国管理行政機能の拡大

おわりに


『今後の出入国管理行政のあり方について―坂中論文の複製と主要論評ー』

                 (日本加除出版、1989年)

1989年に坂中論文(1975年執筆。1977年自費出版。)の復刻本を出版するにあたって元入国管理局次長の竹村照雄氏から素晴しい推薦文「序にかえて」をいただいた。以下にその要旨を再録する。

共に燃えた時代であった。
今「坂中論文」を読み返し、あらためて当時私たちの目指していた熱き思いが蘇ってきた。

入国管理局に次長として着任し、最初に当面したのが第四次出入国法案の国会提出で あった。それとともに連日のように法案反対の矢面に立たされた。法案は審議未了廃案となり、以後機いまだ熟せずとして、当分法改正を断念する一方で、新たな環境作りのための努力が始まった。
入管行政について、日本人の多くは関心がない。関心を持つのは、当然ながら外国人である。その外国人が新しい時代に即応した法改正に反対するのである。私はこれら反対運動の人たちをはじめ、何かというと抗議陳情に押しかけてくる人たちに接しながら、 やがてこれらの人こそが入管行政のあり方を考えてくれている仲間であり、そのエネルギーをわれらがものにしようと思い至ったのである。
入管行政の新たな展望を開く道は、内外の理解と協力を得ることはもちろんであるが、 何よりも行政を担当するわれわれ自信が自己の蒙を啓き、明確な理念を掲げて心を合わせることである。私たちはそれを目指した。そのような過程の中で、入管発足25周年を迎え、そして、その記念論文として、本来の入管職員の中から「坂中論文」が登場したのである。
入管行政の当面する問題は多く、それは内外の情勢の変転に応じ次々に生起して止まるところがない。国内的には外国人登録制度のあり方、対外的にはベトナム戦争の終結に伴う難民受け入れ問題、そしてその後の国際交流の一層の拡大を経て、今や外国人の受け入れ体制が労働力流入とからんで大きな論議となっている。このような現在的課題の渦中にあって「坂中論文」は、かわることなく現在に通用し、将来に生きるべき力強い内容を備えていると思う。


『出入国管理及び難民認定法逐条解説』

(共著、日本加除出版、初版1994年、新版1997年、全訂版2000年、改訂第3版2007年、改訂第4版2012年)

外国人の出入国管理の基本法である出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と略称する。)は、連合国軍の占領下にあった1951年に、いわゆるポツダム政令として制定されたものである。
入管法は、日本の外国人の受け入れの基本方針と外国人の入国・在留・退去強制・難民認定の各手続について定めており、日本で生活する外国人はもとより、入国審査官、入国警備官、裁判官、検察官、弁護士など外国人の出入国管理に関係する業務に従事する人々にとっても極めて重要な法律である。しかし、これまで、その本格的な逐条解説書が出版されることはなかった。これは、主たる対象が外国人であるという法律の特殊性に加え、ポツダム政令として制定されたことに基因する立法資料の不足、その母法である米国移民法の研究が十分でなかったこと、入管法の研究者が皆無であったこと等の事情によるものと考えられる。
今日、日本社会の国際化が飛躍的に進み、多数の外国人が多様な目的で入国し、広範囲の分野で外国人と国民の交流が行われており、これに伴って種々の問題も生じている。このような外国人の出入国をめぐる最近の状況下で、外国人の出入国管理の仕事に携わる実務家のみならず、外国人の入国・在留問題に関心を持つ人々から、入管法の逐条解説書を求める声が寄せられている。
本書は、国際化の時代の要求に応えるため、主要な入管法改正で主導的な役割を果たした入管法の専門家が、米国移民法の比較法的研究も参考とし、入管法の体系的な逐条解説を試みたものである。
なお、1994年の初版以来、コメンタールの世界では異例の「序論」の章を立て、人口の国際移動の背景にある人口問題と入国管理政策の関係などについて考察している。たとえば、改訂第三版(2007年)において「人口減少社会の日本の外国人政策」の表題の項目を設け、その結論部分で移民国家へのシナリオを描いている。
〈まず内閣が、「多民族共生社会」の実現を国の基本方針とすることを決める。そして、世界から多士済々が移住したいと憧れる「移民国家ニッポン」をめざし、民族や文化の異なる人を正当に評価する社会へと、日本社会の体質改善を国民に呼びかける。同時に、移民受け入れ政策の立案、多民族の国民統合などを担当する「移民庁」を設置する。家庭、学校、職場、地域社会においては、外国人との共生運動を展開し、外国人と交わり切磋琢磨することで新たな可能性を発見し、活路を見出そうと考える日本人が増える社会環境を整える。〉


『改正入管法の解説ー新しい出入国管理制度ー』

       (共著、日本加除出版、1991年)

外国人労働者の受け入れのあり方など外国人の入国・在留問題について国民の関心が高まる中、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律が1989年12月8日第116回国会において可決・成立し、翌1990年6月1日から施行された。この法律は、近年各方面で活発に議論されてきた外国人労働者の入国問題への対応を主たる目的として、外国人の入国・在留管理の基本である在留資格制度の抜本的改正を含む多くの重要な改正を行った。
本書は、第一に、法改正の背景及び経緯、立案に当たっての基本的な考え方、改正の主要点などについて説明した。第二に、改正入管法について逐条ごとに、改正の趣旨、改正の要点、旧法との相違等を説明するとともに、改正入管法に基づく省令や告示についても簡潔に解説した。

 

 


『国際人流の展開』

    (日本加除出版、1996年)

本書は、平成元年6月から平成8年3月までの間に各誌に発表した8篇の文章を収録したものである。
その7年間は、日本社会の国際化が急速に進み、国際間の人の移動が大規模に展開される激動の時代であった。出入国管理行政は、外国人労働者問題に対処するための出入国管理及び難民認定法の改正、深刻化する不法就労外国人問題、在日韓国・朝鮮人の法的地位の安定を図るための出入国管理特例法の制定、中国人偽装難民問題の発生、外国人研修生の受け入れ問題、外国人芸能人の資格外活動問題など、さまざまな課題に直面した。私は入管実務の責任者としてこれらの難問題と真正面から取り組んだ。
本書に収録した文章は、各方面からの求めに応じ、行政官の立場から、以上の出入国管理行政上の諸問題をテーマに講演したものの記録と、雑誌に掲載された論考である。入管行政が大きく変わる時代に立ち会った実務者の体験談として多少の意味があるかもしれない。

 


『在日韓国・朝鮮人政策論の展開』

       (日本加除出版、1999年)

本書は私の在日韓国・朝鮮人政策論に関する集大成の著作である。1977年に書いた論文「在日朝鮮人の処遇」と、それから20年ほどを経てこの論文にまつわるその後の展開を主たるテーマに講演した記録等を取りまとめた四つの文章から構成される。その本の中で私は、「本書の公刊をもって、行政官として20年以上にわたり在日韓国・朝鮮人処遇政策にかかわり、これに関連して論文を書いたことに、一つの区切りをつけたという思いがする」と述べている。

以下はその目次である。
序論ー1977年論文をめぐってー
1これまで在日どう生きてきたのかー坂中論文から20年ー
2これ以上ない法的地位と処遇ー在日韓国・朝鮮人問題への対応ー
3東北アジアの新しい国際秩序の形成と在日韓国・朝鮮人
4特別永住許可制度について
5在日朝鮮人の処遇


『日本の外国人政策の構想』

          (日本加除出版、2001年)

本書に収録した論文を改めて読み返してみて、ふたつの基本的な立場から外国人政策論を展開していると思った。
第1は、国際人口移動の管理の視点から日本の入国管理政策を考えるというものである。その場合において世界及び日本の人口動向と経済動向を重視する。
第2は、日本社会の健全な発展、特に日本国民の公正な外国人観・異民族観の形成に資するよう、外国人の受け入れは秩序正しく着実に進めることが肝要であるというものである。
その上で次のように述べている。そこには移民政策に直結する発想が見られる。「21世紀初頭に日本が人口減少社会を迎えるのは必至であり、人口減少問題との関係で外国人受け入れ問題が国民的な課題となるのは確実である。人口減少社会における日本国のあるべき姿について、人口の減少に比例して縮小していく「小さな日本」か、日本人人口の減少分を外国人人口で補って成長していく「大きな日本」か、そのどちらを選ぶかの国民的な議論を戦わせてほしいと願っている。」


『日本型移民国家の理念』

    (移民政策研究所、2010年)

私は2005年以来、日本と世界の若者を惹きつける国家ビジョンを示したいという思いから、「日本型移民国家」の構想を練ってきた。ここに打ち立てた日本の未来構想が、超少子化と超高齢化の人口問題に「移民立国」で立ち向かい、教育重視の育成型移民政策に基づき50年間で1000万人の移民を受け入れるというものである。
この壮大な国家ビジョンが現実のものとなると、若年層中心の1000万人の移民の協力が期待できるから、少子化時代に生まれた若い世代の社会的・経済的負担は相当軽減されるはずだ。人口減少社会を生きる少子化世代にとって移民は同志である。日本の若者は移民と力を合わせて厳しい試練を乗り越えてほしい。
移民は単に人口危機の日本を救ってくれるだけではない。日本社会の体質を均質性の高いものから多様性の富んだものへ転換させる原動力になる。多士済々が活躍し、生命力の強い「多民族社会」が形成される。
ひとつ強調しておきたいことがある。移民立国で日本再生を目指す以上、「移民の夢がかなえられる日本」に生まれ変わらなければならない。日本人が移民を暖かく迎える国にならなければ世界の人材は日本に来ない。

 


『北朝鮮帰国者問題の歴史と課題』

          (共著、新幹社、2009年)

北朝鮮帰国者問題について寄せられる質問には、次のようなものがある。
「在日コリアンや日本人妻はどのような経緯で北朝鮮に移住したのか」
「北朝鮮でどのような処遇を受けたのか」
「なぜ北朝鮮を逃れて日本に助けを求める人が絶えないのか」
「なぜ帰国者を助ける必要があるのか」
「帰国者問題がもうひとつの拉致問題と言えるのはなぜか」など。
以下の論説は、こうした帰国者問題に関する様々な疑問について、40年近く在日韓国・朝鮮人問題と取り組み、いま日本に帰ってきた帰国者の定住支援活動を行っている立場から、わかりやすく説明するものである。

 


『Towards a Japanese-style Immigration Nation』

               (移民政策研究所、2009年)

この英文図書は、『日本型移民国家の構想』(移民政策研究所、2009年)など坂中英徳移民政策論文集を英訳したものである。日本外国特派員協会や在日外国人の友人たちに謹呈した。

 

 

 

 

 


『日本型移民国家の構想』

(移民政策研究所、初版2009年6月、増補版同年9月)

日本型移民国家に関係する小論をまとめて一冊の本にしたものである。人口秩序が崩壊する日本危機の深層をえぐりだした。小さな作品であるが、苦労して書いたものである。危機を好機に変える逆転の発想で移民政策論を展開した。初々しいところが残っていて愛着がある。以下は目次の一部である。
①人口危機をロボットが救う?
②移民が日本を救う
③革命的な移民政策が政治課題にのぼる
④日本型移民政策の展望
⑤移民1千万人構想
⑥5万人の農業移民が耕作放棄地を耕地に変える
⑦人口危機は「多民族共生国家」への好機
⑧移民国家日本の未来図

 


    『入管戦記』

           (講談社、2005年)

人口減少社会を迎える日本において、今後、外国人の入国管理を担当する入管の果たすべき役割はますます重要になり、外国人問題は国の基本秩序を左右するものになるだけでなく、国民生活にも多大の影響を及ぼすものへと広がってゆくであろう。
本書は、ひとりの入管マンが何を考え、何を行ってきたかを披露し、入管の仕事を国民に広く知ってもらう目的で書き下ろしたものである。1975年以降の在日韓国・朝鮮人問題を始め、インドシナ(ベトナム)難民問題(1975年)、日本語就学生問題(1988年)、中国人偽装難民問題(1989年)、外国人労働者受け入れ問題(1990年)、興行入国者問題(1995年)、日系ブラジル人問題(2000年)、北朝鮮帰国者問題(2002年)、そして人口減少社会の日本の外国人受け入れ政策(2004年)など、この30年間の出入国管理行政上の主要課題に取り組んできた私が自らの体験をできるかぎり率直に語ることで、読者を「入管の世界」へご案内しようと思う。

 


『脱北帰国者支援は私の使命』

         (脱北帰国者支援機構、2005年)

2005年3月に法務省入国管理局を退職後に書いた最初の論文である。在日朝鮮人問題並びに北朝鮮帰国者問題について歴史的・体系的に論じた快心の作である。以下にその論題を紹介する。
①「『坂中論文』の誕生」②「『永住』から『自然消滅』へ」③「北朝鮮帰国運動がもたらしたもの」④「もうひとつの『拉致被害者』」⑤「『脱北帰国者支援機構』の立ち上げ」⑥「脱北帰国者全員を助ける」⑦「帰国運動の責任は誰にあるのか」⑧「帰国運動は間違っていた」⑨「10万人の帰国者が戻ってくる」⑩「脱北帰国者をののしる朝鮮総連幹部」⑪「組織離れが加速する朝鮮総連」⑫「元朝鮮総連幹部一家の北朝鮮帰国後の受難」⑬全体主義国家には人権と人道で押していくしかない」⑭「脱北の流れは止められない」⑮「在日韓国・朝鮮人は重い口をひらいてほしい」⑯「本国忠誠型の民族団体は崩壊する」⑰「国交の正常化と人の交流の正常化は不可分のもの」⑱「二つの世紀にまたがる大問題に挑む」

2014年5月の日朝政府間協議において北朝鮮政府は日本人配偶者、北朝鮮残留日本人の帰国を認める方針を示した。標記の論文以来の私の努力が実った。私は北朝鮮に閉じ込められている日本人妻たちが祖国の土を踏む日を今か今かと待っている。

 


『移民国家ニッポン――1000万人の移民が日本を救う 』

             (共著、日本加除出版、2007年)

2005年から日本は、歴史上あまり例のない急激な人口減少期に入った。政府の将来人口推計では、50年後は9000万人を切り、100年後は現在の三分の一の4000万人台にまで減少すると推定されている。
人口減が深刻化する一方の日本は、もはや手をこまねいているわけにはいかない。今こそ、日本の大改革に向けて、活発な国民的議論を始めなければならない。
そのような危機感を持つ私たちは、本書において、日本が人口減少社会を乗り切るための有力な施策として、今後50年間で1000万人の移民を受け入れる外国人政策を提案している。さらに、人口減の日本が外国人を受け入れる基本的な枠組みについても検討し、「人材育成型」の移民政策をとるべきだと提案している。

 

 


『人口崩壊と移民革命――坂中英徳の移民国家宣言』

                          (日本加除出版、2012年)

人口崩壊の危機が迫る時代に生きる日本人は、「日本人だけの閉ざされた世界」で安穏に暮らすことはできないと肝に銘ずるべきだ。「移民歓迎」と「共生社会」の旗を掲げ、異なる民族と真正面から向き合い、移民と共に生きる世界を築くしか生き延びる道はない。
以上の基本的立場から、移民政策のプロフェッショナルは2007年2月、人材育成型の移民政策に基づき、50年間で1000万人の移民を受入れる日本型移民国家ビジョンを打ち出した。
移民1000万人構想は、国家存亡の危機に革命的な移民政策で立ち向かい、世界の有為な人材を獲得しようというものだ。目指すべきは、多様な民族の融和と総合力によって新たな文化と創造力を生み出し、元気はつらつの国によみがえる「日本文明の再生」だ。
移民は人口が激減する日本を助けてくれるだけではない。日本社会の体質を均質性の高いものから多様性に富んだものへ変える原動力になる。地球時代を生き残るため日本人は百の顔と個性がある国民に変貌しなければならない。

 

 


『Japan as a Nation for Immigrants 』

(移民政策研究所、2015年)

私は2014年4月、南カルフォルニア大学日本宗教・文化研究センター主催の「日本の移民政策に関するシンポジウム」において基調講演を行った。「Japan as a Nation for Immigrants :A Proposal for a Global Community of Humankind」のタイトルでスピーチした。約40名の研究者が熱心に聞いていた。会場から多くの質問が寄せられた。人類共同体の創成に挑む私の熱い思いは世界の知識人に十分伝わったと思う。
主催者のダンカン・ウィリアムズ南カリフォルニア大学准教授(日本仏教学の権威)は、「坂中さんの移民政策を世界に紹介する『小さな企画』です」といわれた。日本生まれで日本育ちのダンカンさんは謙虚な人だが、私にとってそれは「人類共同体思想を世界の知識人に披露する最高の舞台であり、『大きな企画』であった」と感謝している。何よりも、日本語のスピーチ原稿:「日本の移民国家ビジョン――人類共同体の創成に挑む」を格調高い英文にしていただいた。
そのとき、すばらしい英語に訳された人類共同体思想=「人種・民族・宗教の違いを超えて人類が一つになる移民国家の理念」が世界に飛び立ち、世界の移民政策にも影響が及ぶと予感した。


『新版日本型移民国家への道』

(東信堂、2014年)

2014年に入り、移民国家をめぐる議論がにわかに熱を帯びてきた。2月13日の衆議院予算委員会において安倍晋三首相は古川元久委員の「移民の受け入れ」に関する質問に対して、「国民的議論を経た上で、多様な角度から検討する必要がある」旨の答弁を行った。
安倍首相が自ら移民受け入れの国民的議論を呼びかけたことの持つ意味は大きい。さっそく政府部内から画期的な動きがあった。首相のおひざもとの内閣府は2月24日、2015年から年間20万人の移民を受け入れ、かつ2・07の出生率の目標を早期に達成し、もって100年後の日本が1億の人口を擁する国を目指すという未来構想を発表した。
その10年前の2004年から移民の受け入れに関する議論を国民に呼びかけてきた私の待ちに待った時代がやってきた。この『新版日本型移民国家への道』は、移民国家が視界に入ったのに合わせたかのようなタイミングで発刊される。移民国家の国民的議論を盛り上げるうえで不可欠の論文集として大いに活用してほしい。


『日本型移民国家の創造』

(東信堂、2016年)

移民政策一本の行政経験を生かし、移民法の制定、移民政策基本会議の設置、入管法の設置などの移民法制のあり方を含む、直ちに移民国家への移行可能な具体的な政策を提案している。だが、移民政策について大方の国民の支持が得られたのかというと、実はまだそこまでは至っていない。
ただ、私の努力が功を奏し、10年前の移民賛成ゼロから今日の移民賛成51%(2015年4月の朝日新聞の世論調査)まで世論が動いた。あと一歩のところまできたと思うが、まだ乗り越えるべきハードルは高いと感じる。目立った移民反対論がないのは救いだが、総じて国民は移民の受け入れ問題について無関心である。どうすればこの最後の壁を乗り越え、移民国家への道を確固たるものにすることができるか。
ひとえに移民政策のオピニオンリーダーたる私の力量にかかっている。移民立国の必要性・緊急性について国民の理解を得るためさらに努力する必要がある。たとえば、世界各国は日本の移民開国を望んでいること、世界の手本となる日本型移民国家ビジョンの具体的内容、移民政策がもたらす抜群の経済効果などを国民に繰り返し説明しなければならない。以上のような思いを込めて、この移民政策論文集を世に送り出す。


『日本型移民国家が世界を変える』

(2016年10月、移民政策研究所刊)

2016年10月現在の移民・難民をめぐる世界情勢を概観すると、米国、英国、フランス、ドイツで異なる民族や宗教に対する排他的な考えが勢力を強めている。移民拒絶主義者や人種差別主義者がわが物に闊歩し、反人道主義勢力が世界各国を席巻する時代にしてはならないと決意を新たにする。
先進国でひとり日本が移民鎖国の温室の中でぬくぬく生きる時代は終わった。人口激減で大量の移民を最も必要とする日本が、50年間で1000万人の移民(難民を含む)を受け入れると宣言して世界に打って出る時だ。世界の人々は、移民・難民に寒風が吹き荒れるなか、人類共同体の理想を掲げて立ち上がる人道移民大国に歓声をあげるだろう。
移民受難時代の到来によって、移民1千万人構想と人類共同体思想は人類史的・世界史的意義をはらむものになった。それは世界各国の移民政策にも影響が及ぶにちがいない。これからの私は世界の移民政策をまさに牽引する使命を担うことになると予感する。


『東京五輪の前に移民国家体制を確立したい』

(2016年11月、移民政策研究所刊)

東京五輪の開催と悲願の移民開国を合わせて実施するアイディアを提案したものである。2020年の東京オリンピックの前に移民国家体制を確立することは喫緊の課題である。東京五輪は、確かな延命策を講じて、日本を元気にするラストチャンスであり、このチャンスを逃したら日本は「万事休す」の事態に追い込まれると強い危機感を覚える。2020年の東京五輪の年を「移民元年」にするとともに、人口減少期の日本の将来に絶望している若者を元気づける「若者元年」にしなければ日本の明日はないと私は政府に訴える。
そんな中で移民の受け入れを支持する若い人たちが急増しているのは何よりの救いである。移民を歓迎するする若者たちが移民立国で立ち上がれば、日本は「移民に開かれた国」に生まれ変わる。移民政策に消極的な政治家といえども、少子化時代を懸命に生きなければならない若い世代の正論に従うしかあるまい。

 


『日本の移民政策の展望』

(2017年4月、移民政策研究所刊)

2017年4月現在、移民の受け入れのあり方をめぐって世界は大きく揺れている。移民問題は世界が解決を迫られる喫緊の政治課題になった。日本が先進国の中でひとり移民鎖国を続けて責任を逃れる時代は終わった。人口の激減で移民の助けを最も必要とする日本が、文明先進国として経済大国として移民の受け入れで応分の国際貢献をする必要があると、私は政府に直訴している。
以上の基本的立場から、2016年10月刊の『私家版 日本型移民国家が世界を変える』、同年11月刊の『私家版 東京五輪の前に移民国家体制を確立したい』に続き、このふたつの私家本に未収録の比較的長文の文章を集めて、『私家版 日本の移民政策の展望』を上梓する。この第三弾の私家本は、期せずして、坂中移民政策論の理論的発展の歴史を語るものになった。
たとえば、第2章の「日本型移民国家の構想」において坂中移民国家構想の基本的な考えを明快に示した。私の考える移民国家ビジョンの全体像を体系的に論じた。


『坂中移民政策論集成』

(2017年5月、移民政策研究所刊)

第1章の「坂中英徳の『日本型移民国家宣言』」は、2010年11月の世界経済フォーラム主催の「移民に関する世界有識会議」で提案した論文の日本語原稿である。この論文は世界の移民政策の理論的リーダーから高い評価を受けた。
第3章の「移民政策が日本を元気にする」は、東日本大震災の直後の2011年6月、『ウオール・ストリート・ジャーナル』(アジア版)のオピニオン欄に投稿した論文の元になった日本語原稿である。同紙はその翌週の社説で坂中英徳の移民革命論を評価した。
第6章の「脱北帰国者支援は私の支援」と題する論文は、法務省を退職して間もない20005年7月に行った講演で使ったスピーチ原稿である。北朝鮮帰国者問題を歴史的・体系的に論じたこの論文は今日も輝きを失っていない。

 


『移民国家の歴史を記録するのは私の使命』

(2017年8月、移民政策研究所刊)

日本の移民政策をリードしてきた私は、「日本型移民政策への道」に関係する歴史的事実をありのまま記述し、後世の人々のよりどころとなる文献として歴史の風雪に耐える政策論文を書き残す責任がある。日本の歴史の一頁として、移民国家の建国の歴史を記録に残すのは私の使命である。2016年の秋から2017年の夏にかけて、「私家版 日本型移民国家が世界を変える』を皮切りに、『私家版 東京五輪の前に移民国家体制を確立したい』、『私家版 日本の移民政策の展望』、『私家版 坂中移民政策論集成』、そして本書『私家版 移民国家の歴史を記録するのは私の使命』まで、「私家版」と銘打った論文集を発表してきたゆえんである。主要な移民政策論文を編集・発刊し、責任を果たしたので後顧の憂いはない。

 

 


『日本型移民国家の世界的展開』

(2018年1月、移民政策研究所刊)

坂中移民政策論の形成の歴史と、その世界的展開について述べたものである。2018年1月現在、米国、英国、フランス、ドイツで異なる民族や宗教に対する排他的な考えが勢いを増している。反人道主義勢力が世界各国を席巻する時代にしてはならないと決意を新たにした。
出生者人口の激減で大量の移民を最も必要とする日本が、50年間で1000万人の移民を受け入れると世界に約束する時がきた。世界の人々は、移民・難民に寒風が吹き荒れるなか、人類共同体の理想を掲げて立ち上がる人道移民大国の誕生に歓呼の声を上げるだろう。
いっぽうで、少子高齢化による人口秩序の崩壊の脅威がひたひた押し寄せて来るなか、これ以上移民鎖国を続けると、日本の全面崩壊は避けられない。早急に移民国家へ舵を切るべきである。
以上が、『日本型移民国家の世界的展開』と題する移民政策論文集を緊急に出版するゆえんである。

 


『日本の移民国家ビジョン』

(2018年6月、移民政策研究所刊)

日本型移民国家への道と、日本の移民国家ビジョンの世界的展開について述べたものである。43年間、移民政策の研究に心血を注いだ坂中英徳の卒業論文である。
移民国家の理想を追い求めた人生を振り返ると私は、とりわけ移民革命を主題とする論文を公にするにあたっては、これが最後の作品になるかもしれないと全霊を傾けた。このたび、人類共同体構想の全体像を描いたこの本を書き終えて移民国家創成論に魂が入り、画竜点睛が整った。日本の移民政策のエキスパートの頭にひらめいた人類共同体の理念が世界の人道危機を救う光明として輝く時代が訪れることを祈る。