21世紀は人種や移民を理由とするヘイトクライムが噴出する時代

かつての私は第二次世界大戦後の人類は人種問題を克服したと楽観的に見ていた。しかし、21世紀のいま現在こそレイシズムの問題が噴出する時代であり、世界で頻発している人種差別の嵐を直視しなければならないと考えを改めた。それが人類の命取りにつながるという恐怖の念に襲われる時もある。
世界全体を見渡すと、人種や移民を理由とするヘイトクライムが続発している。世界に漂う異様な雰囲気は、ヒットラーがヨーロッパを席巻した第二次世界大戦前夜の空気とかなり似ていると感じる。欧米社会において自分たちの属する人種・民族・宗教が絶対的で正しいと考える人たちが増加傾向にある。異なる民族間・宗教間の紛争や内乱が頻発している。
2022年現在の世界情勢を概観すると、人類は新型コロナウイルスの猛威に襲われている。世界各国は非常事態宣言を発している。外国人の入国管理を強化し、国境を封鎖する方向に向かっている。それに追い打ちをかけるようにロシアによるウクライナ侵略が始まった。甚大な犠牲者を出した第二次世界大戦の深刻な反省に立って人類が築いた国際法秩序の瓦解の日が近いと予感する。世界経済が被る被害も甚大で、1929年の世界大恐慌以上の経済秩序の崩壊に発展する恐れすらあると感じる。
今こそ全人類が心を一つにし、人類運命共同体の理念を掲げて立ち上がるときだ。これは和の心と寛容の心が詰まった日本精神から生まれた平和哲学である。ただし日本的感性の持ち主にしか理解できない難解な思想というわけではない。人種、民族、宗教を問わずすべての人々が容易に理解できる普遍的概念である。
人類共同体哲学を打ち立てた論文集「Japan as an Immigration Nation」(移民国家日本)の著者に天命が下ったと自覚する。この英文図書を武器に真心を込めて移民・難民を歓迎することの必要性と緊急性を世界の良心に訴え続ける決意を新たにする。