21世紀の外国人政策――人口減少時代の日本の選択と出入国管理

坂中提案

法務省名古屋入国管理局長であった私は2000年4月、国際交流基金アジアセンター事業部長から、「アジア理解講座(2000年度第一期『日本のなかのアジア』)」の講師の依頼を受けた。同講座のコーディネーター役を務める山脇啓造明治大学助教授(当時)から事前に話があったもので即座に承諾した。

同年7月、私は同講座(「日本のなかのアジア――在日外国人と共生社会」)の講師として、「21世紀の外国人政策――人口減少時代の日本の選択と出入国管理」と題して講義を行った。この講義の持つ重要性に鑑み、講義のための大部の原稿を用意し、それに基づき話をした。

21世紀初頭の日本が直面する最重要課題について熱を入れて論じたが、抽象論で問題提起にとどまるものであったせいか、聴衆の反応はいまひとつであった。いま思うと、2000年当時、人口減少時代の日本の新しい国づくりについて語る日本人はいなかったということなのだろう。移民国家構想を論ずるのは余りにも時期尚早であったということである。

あるいは一般市民の方からすると荒唐無稽な未来構想であったのかもしれない。しかし、講師役を務める私にとって、それはこれから取り組むべき喫緊の政策課題であり、以後展開する移民政策論の出発点となったものである。そこに坂中移民政策論の基本的なアイディアの芽がすべて顔を出している。荒削りながら、人口問題の重大性とその解決策としての移民政策の必然性・方向性を明示している。

それは一体何を意味するのだろうか。久しぶりに読み返してみて、先見性のある発想と説得力のある論理展開に目を見張った。現代にも通用する堂々たる論を展開し、少しも色あせていない。17年前に坂中移民国家構想の理論的枠組みがほぼ出来上がっている。この講義原稿こそ、日本を移民国家へ導く原動力となった論文であると言っても過言ではない。

なお、このアジア理解講座のスピーチで使った草稿に手を加えたものが、『国際人流』(第161号、2000年10月、財団法人入管協会発行)に載った論文「21世紀の外国人政策――人口減少時代の日本の選択と出入国管理」である。

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