2050年の農村地帯

坂中提案

私は2005年3月、法務省を退職するのを前に、「入管戦記」(講談社)というタイトルの本を刊行した。その第九章「2050年のユートピア」において、日本が大きく舵を切って、2000万人の移民を受け入れ、「多民族共生社会」の理想に向かって一路邁進したという前提で、2050年の日本の姿を描いた。以下は、2050年の「活況を呈する農村地帯」である。

『 今日の日本の農村においては、外食産業や商社が投資した食品生産会社が外国人労働者を雇用して、農産品の生産を行う経営形態が主流となっている。先祖代々の土地を守ってきた農民たちは、土地を売り、食品生産会社に勤めている。

2015年に、人口激減で農村社会の存続が危ぶまれる状況に至り、日本政府は株式会社が農場を経営し、労働力として外国から移民を受け入れる政策に転じた。

この政策転換により、農村の様相は一変した。それまで、荒れる一方であった日本の歴史遺産である水田・森林が守られ、食糧と資源が確保される目途が立った。21世紀初頭に25%しかなかった穀物自給率は50%にまで回復した。

農村地帯で働く外国出身者は150万人。中国系、ベトナム系、バングラデシュ系、タイ系の人が多い。外国出身者が農村社会を支えている。彼らは日本の伝統文化が色濃く残る農村社会にすっかり溶け込んで生活している。お祭りなど日本の伝統行事にも積極的に参加し、日本人との人間関係も良好のようだ。

外国人の受け入れで農村人口は増加に転じ、昔の活気が戻った。』

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