1990年の入管法改正のねらい

坂中提案

1990年の改正入管法の施行を前に、『世界』(1990年1月号)が「日本の外国人」という特集を組んだ。わたしは入管法改正の実務担当者の立場で、「入管法改正のねらい」についてのインタビューに応じた。

当時の入管行政が直面していた不法就労外国人問題、外国人研修生問題、中国人偽装難民事件など様々な外国人問題が取り上げられた。最後に、「入管法改正で問題は解決されるのか。日本とアジアの国々の経済格差という根本問題が変わらないかぎり、どのような法制度を用意しても人々はやってくると思うが」という趣旨の質問を受けた。それに対する私の回答は、25年後の現在にも当てはまる提言になっていると思うので、以下にその要旨を掲げる。

〈これはまったく個人的な考えですが、日本がいつまでも経済成長を優先させる「成長社会」であり続けるのが、果たして適当なのかどうか。そろそろ成長のペースをダウンさせ、安定した「成熟社会」への転換を図ることを検討すべき時期に来ているのではないかと思っています。〉

〈外国人労働者の受け入れは将来の日本の経済社会のあり方と密接に関係します。つまり、日本が外国人労働力を導入してまで経済成長を続けていく社会をめざすのか、あるいは外国人労働者を必要としない程度の経済規模で落ち着く、静的な社会を目標とするのか、ということです。外国人労働者問題は、日本社会のあるべき姿との関連において論じられるべきだと思うのです。〉

1989年当時はバブル経済の時代であったが、人口減少社会の到来を予感していたのか、経済成長優先の「成長社会」から安定指向の「成熟社会」への転換を主張している。また、外国人労働者の受け入れは日本の将来のあり方と関連させて議論すべきと指摘している。

『世界』での一連の発言の中に、その15年後に私が提案する「人口減少社会の日本の未来像」(「小さな日本」か「大きな日本」か)につながる芽が出ている。この箇所を読まれた連合の幹部から「大胆な発言をされていますね」という電話をいただいたことを覚えている。

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