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1000年後の人類社会を展望する

 宇宙船地球号の中で人類が今日まで生き延びることができた理由のひとつに、人類の多様化つまり多様な人種・民族に枝分かれしたことが挙げられる。もともと単一の種である人類は、地球上の新天地を求めて移住し、赤道直下から極北に至る様々な生活環境によく適応し、よく生命をつないできた。もしアフリカの一地域に住む単一の人種・民族の人類のままであったなら、種としての人類は天変地異など生活環境の激変に適応できず、地球上から早々に退場していたかもしれない。

 今日、2000を超える民族が存在すると言われている。多様な民族社会から成る人類社会は強い生命力がある。多数の民族がそれぞれ独自の文化を誇っている。この多様性に富んだ人類の未来はどうなるのだろうか。千年単位の文明論的視点から人類の未来に思いをめぐらすと、さらなる多様化の道ではなく、多様な存在が相互に混血を重ねて一つの種に収斂される方向に進む人類の姿が目に浮かぶ。

 ホモ・サピエンスは本来、異なる人種・民族に対し、同じ種に属する仲間として親近感や憧れの気持ちを持っている。1000年後の人類は、自分とは異なる人種・民族のほうにひきつけられ、異なる人種・民族間の結婚が多数を占める社会が形成されている可能性がある。

 人類という種社会で互いに異なる存在にひかれていく人類像。その結果として人類の多様性が次第に失われていく未来像。人種・民族・国民の垣根をこえた地球市民が多数派を占める人類社会。1960年代の私は1000年後の人類社会について空想にふけっていた。

 そのとき、移民政策関係の職業に就く運命が待っているとは夢にも思ってもいなかったが、そのころ抱いた空想は今も私の脳裏に焼きついている。それは縄文人の思考や人類共同体社会に魅かれる私の原風景なのかもしれない。