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1000万人の移民が日本を救う

50年後の人口が9000万人を下回るという政府の将来人口推計に危機感をいだいた私は2007年1月以降、全国紙を中心に多くのメディアで具体的な移民政策論を展開した。その結果、「1000万人の移民が日本を救う」という人口減少時代のさきがけとなるキーワードが広まった。

まず『エコノミスト』(2007年1月30日号)で、経済連携協定に基づくフィリピンからの看護師・介護福祉士受け入れ問題を取り上げた。その中で、今回の受け入れ制度は、表向き外国人に門を開いておきながら、事実上、国家試験で排除するものとなる可能性が大であると批判した。そして、これに代わる制度として、日本の専門学校で外国人看護師・介護福祉士を教育し、定住者として受け入れる「人材育成・定住促進型の外国人政策」を提案した。

つづいて2007年1月28日の毎日新聞の『発言席』において、「『トヨタ職業訓練校』創設を」の見出しで、定住ブラジル人の子供を教育訓練し、熟練技能者に育て上げ、日本社会の一員として受け入れる「人材育成型外国人受け入れプログラム」を提示した。

つぎに2月9日の朝日新聞の『三者三論』に、「『移民国家』ニッポン?『人材育成型』の政策を採れ」の表題の談話記事が掲載された。その中で「今後50年で人口が仮に4000万人減るとしょう。その間に1000万人の移民を受け入れ、人口1億人の社会へ移行することなら、努力して、やれないことはない」と表明した。こんな大胆発言をしたら批判が殺到するのではと心配していたが、朝日新聞によると反対意見も抗議も一切なかったということだった。それは何を意味するか。当時の私は、「坂中英徳の単なる空想に過ぎない」ということで完全に無視されたのだと理解した。

さらに3月14日の読売新聞の『論点』で、人口増時代に作られた問題のかたまりの外国人技能実習制度に代えて、「定住促進」と「国内人材確保」を車の両輪とする、人口減時代にふさわしい「外国人職業訓練制度」の創設を提案した。この提案は反響を呼び、同年5月に当時の長勢甚遠法務大臣が外国人技能実習制度の廃止を明言した。

そして7月3日の日本経済新聞の「岐路に立つ外国人研修制度(下)」という特集に、「労働移民の受け入れを」という見出しのインタビュー記事が載った。その中で、人材不足が著しい農林漁業分野への移民受け入れに言及した。

「外国人労働力を研修生ではなく移民としてきちんと受け入れるべきだ。人口減で人材不足が深刻な産業界にとっても朗報だろう。定住する外国人労働者には企業も教育投資もしやすい。」「移民受け入れでは人材育成型を提案したい。官民で外国人向けの職業訓練学校を用意し、来日した外国人にまず1―2年程度日本語や専門的技術を教えた後、正社員にすることを条件に企業などに紹介する。安定雇用を保証すれば治安悪化の懸念も低い。」「国内で育成した外国人に農林業や漁業など日本人の若者が敬遠し、労働力不足が顕著な分野を重点的に担ってもらえばいい。日本人の雇用には大きな影響を与えず、しかも国内の衰退産業がてこ入れできる。」

10月には、『移民国家ニッポン――1000万人の移民が日本を救う』というタイトルの共著(日本加除出版)において、今後50年間で1000万人の移民を受け入れる外国人政策を提言し、「『移民国家ニッポン』を目指して我々は行動を開始する」と宣言した。そのうえで、「なぜ移民なのか」「1000万人もの移民を受け入れる能力が日本社会にあるのか」「日本人は外国人・他の民族と共生できるのか」「どのような仕組みを作れば1000万人の移民受け入れに成功するのか」などの疑問に答えた。

同じころ、文藝春秋編『日本の論点』(2008年版)に寄稿し、「まやかしの外国人政策は限界。移民1000万人が人口減の日本を救う」という表題で移民国家日本の未来図を描いた。その中で、「人口が激減する社会の到来は、日本人が危機感を持って外国人との共生を考え、新しい日本を創造する千載一隅の機会」と述べ、日本人の奮起を促した。

2008年に入って、『エコノミスト』(1月15日号)が「労働開国――移民受け入れが日本経済を救う」という特集を組んだ。私は「『育成型』移民政策に舵を切れ」の題で、移民1000万人を受け入れるための具体策を示した。その核心部分は、外国人を定住前提で受け入れ、人材育成に重点を置く移民受け入れ制度を整備すべきというものであった。さらに、移民を受け入れる場合の「社会革命」を行う日本人の覚悟を迫った。「人材育成型移民政策を強力に推進するため、大学と職業訓練学校をアジアの若者に開放すべきだ。外国人を移民、すなわち将来の国民として受け入れる以上、諸々の既得権を放棄し、いわば『社会革命』を行う日本人の覚悟が求められる。」

テレビでも「移民の受け入れ」を語った。同年4月20日、自由民主党元幹事長の中川秀直氏と一緒に『テレビ朝日』の「サンデープロジェクト」に出演し、「50年間で移民1000万人の受け入れが必要」という画期的な政策提言を披露した。