順風に帆をあげて歴史を動かす時を待っている

坂中提案

2012年10月21日の『ジャパンタイムズ』に「移民が日本を救う」という見出しの記事が載った。結びは「革命家とは、いつか自分たちの時代がくるという強い信念を持って生きていく人たちなのだろう」である。

この記事を書いたマイケル・ホフマン氏は、在日歴30年余の知日家である。『日本型移民国家への道』と『人口崩壊と移民革命』のふたつの著作を読んで、私を移民革命の先導者と名付けて移民国家ビジョンを内外に紹介した。

〈革命家の顔:元法務官僚、元東京入国管理局長の坂中英徳は、日本が崩壊寸前であることを危惧し、「2050年までに1000万人の移民を受け入れなければならない」と述べる。〉

これが日本を代表する英字紙に掲載されると、日本で生まれた移民革命思想は世界の知識人に衝撃を与えたようだ。ジャパンタイムズによると、世界の読者から大きな反響があったということである。

反骨の官僚の異名をもつ元行政官がどうして「革命家」と呼ばれる人間になったのか。それは偶然のなせる業である。外国人行政に身を投じて移民政策の立案をライフワークとしてきた日本人が、人口崩壊という「日本の存亡の危機」とめぐり合ったのだ。

移民政策のエキスパートの道を歩んだのは、奇跡が起きたとしか言いようがない政策論文:『今後の出入国管理行政のあり方について』を1975年に書いたからだ。それをきっかけに移民政策に関する理論的研究と理論の実践をこつこつ積み上げた結果、世界の知識人から「ミスターイミグレーション」と認められるようになったということである。

職業人生を振り返ると、行政官として一途な気持ちで移民問題と取り組んできたが、特別の才能があったわけでも人一倍の努力をしたわけでもない。あたかも天から白羽の矢が立ったかのように移民革命の先導役が回ってきたということである。幸運の賜物である。

そして今、私は順風に帆をあげて歴史を動かす時を待っている。「待てば海路の日和あり」がいまの心境である。

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