革命的な移民政策を欠くアベノミクスは失速する

坂中提案

革命的な移民政策を欠いたままで人口が推移すると、2060年の日本は4・4人の老人に対して子供が1人という「子供が街から消える社会」になる。人類がいまだかつて経験したことのない「夢も希望もない世界」だ。

出生率の低下と人口の高齢化は、若くて生産性の高い就業者が次々と消えていくことを意味する。今すぐ政府が人口崩壊をとめる有効適切な手を打たなければ、遠からず生産、消費、税収、財政、年金、社会保障、国民生活のすべてが立ち行かなくなる。

人口ピラミッドが崩壊へ向かう時代の移民政策は経済成長をもたらす経済政策そのものである。そのような立場から、人口崩壊が経済に与える打撃をできるだけ少なくおさえるため、向こう50年間で1000万人の移民受け入れを提案した。

将来の国民である1000万人の移民が加わる移民国家へ転換すれば、衣食住、教育、雇用、金融、情報、観光などの分野で新たな市場と需要が創出され、少なくとも移民人口分の経済成長が見込める。海外の投資家の対日投資も増加基調に向かう。

生産労働人口の減少が続く中でアベノミクスは日本経済を成長軌道に乗せることができるのだろうか。それは生産人口と消費人口を増やす効果のある移民政策を安倍政権が打ち出せるかどうかにかかっている。

たとえば、今このタイミングで日本政府が「移民国家宣言」を行えば、国際社会は究極の日本開国を評価し、東証株価は暴騰するだろう。日本経済は力強さを取り戻し、世界経済の発展に貢献できるだろう。

昨年6月20日、東京でウォール・ストリート・ジャーナル紙(アジア版)の編集長のジョセフ・スタンバーグ氏の取材を受けた。人口崩壊と移民政策とアベノミクスの関係に焦点をしぼって議論した。

人口崩壊が迫る日本が成長戦略を立てるには革命的な移民政策が不可欠との認識で一致した。以下はその時の私の発言要旨である。

〈少子高齢化が激化する状況下でアベノミクスが日本経済を成長軌道に乗せるのは至難の業である。生産労働人口を増やすのに即効性がある移民政策を取らなければ日本は実のある成長戦略を立てられない。〉

同年6月26日、ウォール・ストリート・ジャーナル(アジア版)のオピニオン欄に「アベノミクスに欠けている矢ー移民政策」というタイトルの論説記事が載った。これを書いたのはスタンバーグ編集長である。

〈安倍首相が名祖の日本経済再生プログラムで象徴的な改革を1つ挙げるとするならば、移民政策だろう。〉

〈新たな消費者や労働者を輸入する形になる移民は、企業による国内の設備投資を刺激する上できわめて重要である。納税人口の基盤が拡大すれば、日本政府の財政状況も改善される。移民には国外からの直接投資を推進し、生産性を高める効果もある。〉

〈移民政策研究所の坂中英徳所長によると、日本が人口の自然減を相殺するためには、2050年までに1000万人もの移民が必要だという。安倍首相が掲げる他の目標の多くも最終的には移民にかかっている。〉

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