雄渾な論文に生まれ変わった移民国家創成論

坂中提案

移民政策研究所長が発表した「日本型移民政策の提言」は、国民からことごとく無視された。日本型移民国家構想を評価する日本の知識人も皆無であった。

たとえば、2007年2月、「『移民国家』ニッポン?『人材育成型』の政策を採れ」の表題の「移民50年間1000万人構想」を朝日新聞に発表した。日本で初めての野心的な移民政策の提案であったが、結果は見るも無残なものだった。当時の朝日新聞によると、移民賛成の意見も移民反対の意見も全くなかったということだった。反響はゼロで完全に黙殺された。それは移民政策のプロフェッショナルの自尊心をいたく傷つけた。奮起一番、説得力のある移民政策の立案に没頭した。

7年に及ぶ冬の時代に坂中移民国家構想に広がりと深みが増した。移民法と移民協定、人類共同体論と世界平和哲学など幾つかの新機軸を打ち出し、世界的視野に立った体系的な移民国家創成論に発展した。移民国家大論争の始まりに合わせたかのように、雄渾な論文に生まれ変わった日本型移民国家論が表舞台に登場した。移民政策研究の集大成といえる『新版 日本型移民国家への道』の発刊である。

それと時を同じくして、2014年に移民政策をめぐる社会の空気が一変した。たとえば、インターネットの世界で若い人たちの間から移民歓迎の声が上がった。世界の機関投資家が日本の移民開国に期待感を示した。内閣府が「移民100年間2000万人構想」を公表した。

2015年に入ると、4月18日の朝日新聞が「移民に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、移民に賛成が51%、移民に反対が34%で、移民賛成が反対を上回った。坂中移民国家構想が総すかんを食った8年前の前記『朝日』の記事のことを思うと昔日の感がする。そしてこの夏、榊原定征経団連会長が「国は移民に対して拒絶的」と批判し、「移民受け入れ制度が必要」と、移民開国を政府に迫った。坂中構想に対する最強の応援団の登場である。

以下は、移民政策研究40年の専門家による現下の情勢判断である。「近く、国民の間から積極的な移民反対の声が出ない状況が明らかになり、移民革命が勃発する可能性がある。政府部内で日本型移民国家構想が人口崩壊の脅威に対処する最有力の国家政策と認められ、政府の基本方針に発展するであろう」。

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