遠い未来の人類を空想する

坂中提案

人類が今日まで生き延びることができた理由のひとつに、人類の多様化つまり多様な人種・民族に枝分かれしたことが挙げられる。人類は、地球上の新天地を求めて移住し、赤道直下から極北に至る様々な生活環境によく適応し、よく生命をつないできた。アフリカの一地域に住む単一の人類のままであったなら、種としての人類は天変地異など生活環境の激減に適応できず、恐竜のように地球上から早々に退場していたかもしれない。

われわれは、一つの生命体から分化発展してきた人類の進化の歴史を顧みる必要がある。今日、2000を超える民族が存在すると言われている。多様な社会から成る人類社会は強い生命力がある。多数の民族がそれぞれ独自の文化を誇っている。

この多様性に富んだ人類の未来はどうなるのだろうか。千年単位の文明論的視点から人類の未来に思いをめぐらすと、さらなる多様化の道ではなく、多様な存在が相互に混血を重ねて一つの種に収斂される方向に進む人類の姿が目に浮かぶ。

ホモ・サピエンスは本来、異なる人種・民族に対し、同じ種に属する仲間として親近感や憧れの気持ちを持っている。1000年後の人類は、異なる人種・民族のほうにひきつけられ、異なる人種・民族間の結婚が多数を占める社会を築いているかもしれない。

人類という種社会で互いに異なる存在に惹かれていく人類像。その結果として人類の多様性が次第に失われていく未来像。人種・民族・国民の垣根を超える地球人の誕生。学生時代の私はそんな空想にふけっていた。そのとき、将来、イミグレーションと移民政策の立案の仕事に就くことになるとは夢にも思っていなかった。

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