農業移民特区から農業革命が始まる

坂中提案

 日本農業の積年のうみを出し、農山村社会の展望を開くのに、移民政策は大いに使えると考えている。

 2010年現在、農業就業人口は2005年よりも75万人減少して260万人。農業就業者の平均年齢は65・8歳。おそらく5年以内に農業人口は半減するだろう。その結果、消滅する農山村社会の増加と食料生産量の減少は必至だ。
 
 日本の農業を弱体化させた根本原因が農業人口の激減にあることを見据えると、新規就業者を増やす移民政策と一体となった農業革命が必要である。

 そこで、農業革命の皮切りとして、10年間で5万人の農業移民を受け入れ、約40万へクタールに及ぶ耕作放棄地を耕地に戻す「農業移民特区」の構想を提案する。

 地方自治体からの申請に基づき、内閣が耕作放棄地を中心とする一定地域を「農業移民特区」に指定する。同時に、同特区において移民の雇用を認める「農業生産法人」(特定農業生産者)を指名する。特定農業生産者は資本力と経営力のある一般企業の中から選ぶ。

 一方、日本での農林業を志望する世界の若者を日本の農業大学校、農業高校に入れて教育する。国は、農業移民の教育費にあてるため、政府と特定農業生産者が出資する「農業移民育成基金」を創設する。

 特定農業生産者は、日本の農業専門学校を卒業した外国人を正社員で雇用する。日本人との同一労働・同一賃金が原則である。入管法上の外国人の地位は、学生の間は「留学」とし、就職が決まった後は「農業技術」とする。その後、速やかに「永住者」の地位を与える。

 特定農業生産者は、日本の農業技術の粋をあつめて品種改良に取り組むとともに、高品質で滋味に富むコメ、果物、食肉を輸出し、「国際競争力のある農業」の先導役を務める。

 農業移民特区制度が軌道に乗れば、競争原理が働き、中堅農家が共同で法人組織を作り、移民を雇用し、大規模経営に乗り出す機運が高まるであろう。

 5万人の農業移民が入ると、農村・山村はどうなるのだろうか。ニューカマーの移民が住む田園に昔の活気が戻っている。移民は日本の伝統文化が色濃く残る農山村社会にとけこんで生活している。日本料理が好きで、各種の伝統行事に参加し、日本人との交友関係も良好である。

 中でも「お祭り」の熱狂的なファンで、色とりどりの民族衣装に身を包んで祭りに興じている。特に神輿が出る祭りには目がなく、はっぴを着た日本人と移民が声をかけ合い、息を合わせ、一体となってみこしをかつぐ光景が全国いたる所で見られる。

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