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財政破綻と移民政策

日本の将来人口は、世界の先頭を切って人生90年の長寿社会に向かう一方で、14歳以下の人口の激減が続くと推計されている。このような超少子・超高齢社会は人類史に例を見ない。

2018年末現在の、国と地方を合わせた長期債務残高は1000兆円を超える。今後も国の抱える借金は雪だるま式に増え続ける。生産人口が今よりほぼ半減すると見込まれる50年後は、国民一人当たりの借金の額は想像を絶する規模になる。
  
金の卵の新生児は膨大な借金を背負って生まれてくる。50年後の4・4人の老人に対して1人の子という「子供が街から消える社会」に生きる少年少女たちは日本人に生まれたことを悔むにちがいない。私は若者世代が子を産むのを躊躇する気持ちが痛いほどわかる。

政治家も官僚も、財政と社会保障制度が瓦解する地獄絵のような将来像を国民に説明する勇気がないようだ。だが、それをいつまでも隠し通すことはできない。人口秩序の崩壊が引き起こす財政破綻の問題を直視し、今すぐ有効適切な手を打たないと、10年以内に悪夢が現実のものになるのは火を見るよりも明らかだ。

国民が消費税の更なる増税など自らの身を削り、国民全体で痛みを分かち合う道徳心を涵養することを絶対的条件に、政府が社会保障と税の一体改革を確実に実施するとともに、総計1000万人の移民に税金と社会保障費の一部を負担してもらうこと、それ以外に最小限の社会保障制度を維持し、財政破綻をまぬがれる道はないのである。

すなわち、人口激減社会を生き抜くための抜本的制度改革をやり遂げること、長期間の緊縮予算を組むことを条件に、入国時は10代・20代が大半の1000万人の移民が納税者として社会保障制度の担い手として新たに加われば、当面の財政破綻を回避できるかもしれない。

その場合でも、遠からず財政再建を確たるものにするために若年人口をもっと増やす必要があるとして、さらなる移民を入れることの必要性が専門家の間で真剣に議論されることになるのは必至だ。

もう一つ、借金地獄の国を襲う悲劇が待っている。膨れ上がる一方の社会保障費の負担をめぐっての若年層(負担者)と高年層(受益者)の対立の激化だ。またたくまに世代間の亀裂が生じる。最悪の場合には、国民的規模での骨肉の争いが起きることにもなりかねない。これほど恐ろしくて悲しいことは世界の歴史にも例がないのではないか。

それだけでは済まない。古来日本人が培ってきた和の精神も非常時に助け合う美風も消えてなくなる。それどころか弱肉強食の殺伐とした社会が出現するおそれすらある。

日本の悲劇を避ける方法はあるのだろうか。考えられる唯一の策は移民立国に活路を見いだすことだ。「国民の分断」を阻止するには、猛烈な勢いで減少してゆく若年人口を補うのに効果的な革命的移民政策を採用すること以外の選択肢はないのである。
 
さらにいえば、移民にとっても、日本の充実した社会保障制度は魅力的なものである。日本に永住する移民を惹きつけるためにも、社会保障制度の骨格を維持することが欠かせない。

人口崩壊と財政破綻を回避し、最小限の社会保障制度を後世の国民に残すのに不可欠な移民社会への転換に関して国民合意を取りつけるのは政治家の責務だ。世代間の利害の調整を図って国民統合を維持することは、日本政治に課せられた最優先の課題だ。

私は国民の分断を阻止するため移民政策の導入の緊急性を提言しているが、政界からの応答はない。当代の政治家の中に子供の将来に思いをいたす人士は皆無のようだ。
   
人口崩壊の脅威に手をこまねいて移民鎖国にこだわった令和の愚行政治が指弾される時代が間近に迫っている。世代間闘争が極限状態に達した時代に生きる国民は、日本の未来に対する責任を放棄し、膨大な借金を残した政治家に怒りを爆発させるにちがいない。

超少子化時代の今も毎日3000人弱の子供が生まれている。日本の宝である子や孫たちの将来に何を残すのか――すべての大人が真剣に考えるべき問題である。