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財政と移民

 2020年末現在の長期債務残高は1000兆円を優に超える。超少子化と超高齢化の同時進行とともに、国の抱える借金は雪だるま式に増え続ける。生産人口が今よりほぼ半減する50年後の日本の国民一人当たりの借金の額は想像を絶する規模に膨れ上がる。金の卵の新生児は膨大な借金を背負って生まれてくる。5人の老人に対して1人の子供という「子供が街から消える社会」に生きる未来の若い世代は、日本人に生まれたことを悔むにちがいない。私は当代の若い世代が子供を産むのを躊躇する気持ちが痛いほどわかる。

 政治家も官僚も、財政と社会保障制度が瓦解した地獄絵のような将来像を国民に説明することはない。だが、人口秩序の崩壊が引き起こす財政破綻の問題を直視し、今すぐ有効適切な手を打たなければ、10年以内に悪夢のような現実に遭遇するのは火を見るより明らかだ。

 国民が自らの身を削り、各界各層の国民全員で痛みを分かち合う国民精神が形成されることを前提に、政府が社会保障と税の一体改革を確実に実施するとともに、総計1000万人の移民に税金と社会保障費の一部を負担してもらうこと、それ以外に最小限の社会保障制度を守り、財政破綻をまぬがれる道はないと明言する。

 要するに、人口激減社会に対応するための抜本的制度改革を行なうこと、長期間の緊縮予算を組むことを条件に、入国時は10代・20代が大半の移民1000万人が納税者および社会保障制度の担い手に加われば、何とか財政破綻を回避できる道が開かれるかもしれないということである。

 その場合、それほど遠くない将来、財政再建に必要な若年人口をさらに増やす必要があるとして、もっと多くの移民を入れることの是非が専門家の間で議論されることになろう。