要請文「日本人妻だけが帰ってきても国民は納得しない」の提出

坂中提案

 2015年12月16日、安倍晋三首相、岸田文雄外相、加藤勝信拉致問題担当相に要請文「日本人妻だけが帰ってきても国民は納得しない」(下記)を提出しました。

        日本人妻だけが帰ってきても国民は納得しない

 北朝鮮政府が日本との国交正常化交渉を本気で進める気があるのであれば、北朝鮮に閉じ込められている日本人全員の帰国を認めることだ。すべてはそこから始まる。
 今日の世界では、自国民、外国人を問わず、すべての人の出国の自由は普遍的権利とされている。世界人権宣言も国際人権規約もこれを明確に定めている。しかし、北朝鮮は世界でも数少ない出国の自由を認めていない国である。
特に、外国人の出国を差し止めている国は北朝鮮以外にないのではないか。国際法にしたがって北朝鮮が外国人の出国の自由を認めれば、日本人拉致被害者の帰国問題も日本人妻の帰国問題もすべて解決する。
 国と国の関係の正常化と人の出入国の正常化は不可分のものである。北朝鮮が日本との国の関係を正常化したいというのであれば、北朝鮮が第一にやるべきことは、日本人の出国の自由を保障することだ。
日本政府は国交正常化交渉を進めるに当たって、在北朝鮮のすべての日本人(日本人拉致被害者、日本人妻ら)の無条件の開放を前提条件にすべきだ。日本人の出国すなわち帰国を許さない国と国交を結ぶことは絶対にあってはならない。
 私は一九七五年から在日朝鮮人の法的地位問題、北朝鮮帰国者問題に取り組んできた。さらに二〇〇九年から今日まで、拉致被害者、北朝鮮残留日本人、日本人妻の一体解決を日本政府と北朝鮮政府に迫り続けた。昨年五月、そのアイディアに北朝鮮政府が乗り、日朝政府間合意が成立した。ここにようやく、拉致被害者、日本人配偶者、北朝鮮残留日本人らの帰国の道が開かれた。日本人妻は高齢者ばかりで、帰国の実現は待ったなしの切実な課題である。
 しかし、合意成立から一年半が経過したのに、とりわけ国民の最大の関心事である拉致被害者に関する調査結果について、北朝鮮政府から日本側が了解できる回答はない。日朝の外交交渉が正念場を迎えた今、私はじっと我慢し、北朝鮮に生存するすべての日本人の帰国がかなう日を待ち続ける。
 日本政府にお願いがある。日本人妻だけが帰ってきても国民は納得しない。邦人保護の問題として、拉致被害者、北朝鮮残留日本人、そして日本人妻の全員の帰国を迫る対北朝鮮外交の基本方針を貫いてほしい。

                             平成二七年十二月十四日

                    
一般社団法人移民政策研究所所長 坂中英徳

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