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西洋の移民政策と日本の移民政策

 私は現代世界を比較文明論的立場から俯瞰し、普遍性にかげりが見られる西洋文明の終焉の日が近づき、これから世界は地殻変動の時代に入ると認識する。その場合、西洋とは異質の精神文化と世界観がある日本文明が新世界文明の創造において重要な責任を担う必要があると、私はかねがね主張している。

 いま現在、米国、EUなど西欧社会で人種差別・宗教差別・移民排斥の考えが急速に広まりつつある。ヒトラーによるユダヤ人大量虐殺に代表される第二次世界大戦前夜の時代のように、エスノセントリズムのイデオロギー(自分たちの人種と宗教が一番すぐれているという考え)が世界を支配する時代へ世界史を逆行させてはならないと、私は世界の指導者に訴えている。日本にとってもこれは決して他人事ではない。

 日本生まれの人類共同体思想に世界の主要メディアが注目した。2016年11月、米国の建国精神をくつがえすトランプ氏の移民政策に強い危機感を持つワシントン・ポストとニューヨークタイムズの取材を受けた。両紙の記者は、人類共同体思想が根本にある日本型移民政策の持つ世界的意義を直ちに理解した。そのとき私は、世界の移民政策のキーパーソンの一人としての責任を担う立場になると直観した。

 なぜなら、多神教で寛容の心が豊かな日本人は人類同胞意識を持つ国民に大化けし、今世紀末までに人類共同体社会を打ち立てる可能性がある。いっぽう宗教と人種における優越的感情が本性としてある西洋人が人類共同体社会を創るのは至難の業である。その前提として西洋人の心に染みこんだ排他的な民族性を拭い去る必要があるからだ。

 だが、移民鎖国のイデオロギーを墨守し、惰眠をむさぼる日本の国のあり方こそ、よほど無責任で問題であると言わなければならない。移民問題で苦闘する先進国の中でひとり日本が移民鎖国の温室の中でぬくぬく生きる時代は終わったと認識する私は、移民政策をとることに抵抗している政治家への説得に全力を尽くす。もはや一刻の猶予も許されない。ここ最近は、何もかも遅きに失し、日本の起死回生の夢はかなわないと絶望的な気持ちに襲われる時がある。

 政府は早急に移民開国を決断すべきだ。国民は「社会の一員として移民を温かく迎える社会」をつくる覚悟を決めるべきだ。

 出生者人口の激減で大量の移民を最も必要とする日本が、50年間で1000万人の移民(難民を含む)を温かく受け入れると、世界の人々と約束すべきだ。移民・難民が人道危機の直撃を受けている中、日本政府が「人種や宗教の違い乗り越えて人類が一つになる移民社会の理念」を掲げて立ち上がれば、世界中の人々が人道移民大国の登場に歓呼の声をあげるに違いない。