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若者が主役の歴史ドラマが始まる

人口崩壊時代に生きる世代を元気にする国家目標はあるのだろうか。過酷な運命が待っている若い世代にぴったりの目標がある。日本の文化に憧れる世界の若者と世界の文化に憧れる日本の若者が和の心で結ばれる、いわば和風の移民国家の樹立を新しい国の目標にしてはどうか。

日本の未来を担う若い世代が若手の移民と手を携えて、人類未踏の人類共同体国家の創建をめざすのだ。これ以上に若者たちのチャレンジ精神をかり立てる目標はないであろう。
それは、日本と世界の若者世代が新しい生き方を模索する道でもある。日本の若者と世界の若者が真摯な態度で向き合えば、心の許容量が大きい日本人と、日本人が大好きな移民の心が一つになって平和・友好・共生の関係を築けるだろう。

最近、私のところにくる大学生、高校生、中学生がとみに増えた。20代のエリート官僚の卵や若手のジャーナリストも、移民政策の勉強のため訪ねてくる。彼ら、彼女らは、事前に移民政策研究所のホームページで坂中オピニオンや電子書籍を読み、日本型移民国家構想のエッセンスを理解している。「若い世代の力を結集して人類共同体社会をつくらなければ私たちの明日はない」、「困難な課題であるからこそ挑戦のしがいがある」「日本型移民政策の提言に賛成。移民政策研究所所長の志を引き継ぐ」など異口同音に抱負を語る。

さて、移民国家構想の運命の決まる日が近づいてきたと感じる。2015年4月の『朝日新聞』の世論調査によると、移民賛成の国民が51%に達した。地方の消滅に危機感を持つ政治家が移民政策を支持する立場を鮮明にした。世界の模範となる移民国家の建設に生涯をかける私に残された最後の仕事が、移民立国の決断を政府にお願いすることである。

この大詰めの仕事は多数の国民の協力を得て成し遂げたい。特に、日本の将来を担う若い人たちの力を借りたい。若者を中心に国民の大半が移民受け入れに賛成というところまで世論を盛り上げ、平和的・民主的な方法で世界史に残る移民国家を創造したいと移民革命の老闘士は意気込む。

国民が新しい国づくりに積極的にかかわることなしに、つまり歴史の必然や外圧によって新国家に移行することになれば、現世の人にも後世の人にも悔いが残る。それでは国民が燃えるような精神の高揚を感じることもない。歴史的な仕事に参加したという達成感も得られない。新国家建設に必要なエネルギーも生まれない。

移民国家を創るという千年に一回の大舞台で主導的役割を果たすのは国民だ。なかんずく厳しい人口減少期を生きなければならない10代・20代の若い人たちだ。人口秩序を正すのに必要な移民政策をとることの賛否について議論を尽くし、移民国家の創成に若い世代がこぞって参加し、人類の悲願というべき人類共同体社会の創造を目標に掲げて前に進んでほしい。人類史的課題に挑戦する日本の若者は、身近な存在の移民への思いやりの心と人類愛をかねそなえた地球市民に成長するだろう。

若い人たちの情熱が移民政策に消極的な政治の壁を突き破り、国の形を理想の移民国家へと変えるのだ。同時に、移民鎖国時代に形成された内向き志向を改め、全人類に開かれたオープンマインドで移民と正しく向き合う。そこから若者が主役を演ずる壮大な歴史ドラマが始まる。

20代の若者の50%が移民政策に賛成という『読売新聞』(2015年8月26日)の世論調査が示すとおり、日本の若い世代の間に広がる、異なる民族に寄せる寛容の心は世界のトップレベルにあると言っても過言ではない。近時、欧米の若者の間で人種差別と反移民感情の高まりが見られるが、健全な外国人観を持つ日本の若者は移民を人類同胞として分け隔てることなく処遇するにちがいない。