自然人として自然のもとに還りたい

坂中提案

2016年10月に出版した「私家版 日本型移民国家が世界を変える」(移民政策研究所刊)と、同年11月に出版した「私家版 東京五輪の前に移民国家体制を確立したい」(移民政策研究所刊)をもって、私の移民国家理論は完成を見た。これからは、このふたつの私家本を使って啓発活動に力を入れ、移民国家議論を大いに盛り上げる。

2020年の東京五輪の日に国の将来を思う若き志士たちが一斉に立ち上がり、日本人の価値観と日本の精神風土に適合する移民国家の金字塔を打ち立てることを期待する。

さて、1975年の坂中論文以来、自分の立てた政策目標に追い立てられる人生を過ごした。高邁な理想を掲げたので、政策実現への航海は難航をきわめた。最近、15年ぶりに会った旧知のジャーナリストから、「坂中さんは余りにも先を読んだ移民政策を立てられた。近く坂中時代が必ず来ます。それに備えて健康に留意してください」という温かい言葉をいただいた。

命を大切にするが、命に執着しない。心の休まるひまがない人生を走り抜けてきた。日本の移民政策の先駆者としてやるべきことを全てやった。世界に誇る日本型移民国家の大綱を書き上げた。日本国民が世界の人々をリードし、人類共同体社会の創造に挑戦する近未来のユートピア世界を描いた。

移民鎖国の厚い壁をこじ開けるため、極度の緊張を強いられる執筆活動に全精力を傾けたので、いつ緊張の糸が切れて突然の死を迎えても不思議でないと覚悟している。憂国の心と犠牲的精神で精一杯努力し、ここまで生きてきた。しかし、こんな計画性のない無謀な生き方がいつまでも続くわけがない。精も根も尽き果てる日は近いと感じる。

ひとつ欲を言わせてもらえば、人生の最期のひとときは目標から解放された「無為の人」として生きたい。そして、ライフワークの結末にもこだわらない、やり残したことも未練もない、そんな自然人として自然のもとに還りたい。

移民国家に生まれ変わった日本の前途については全く心配していない。私のような薹が立った人間が第一線から退けば、寛容の心と青雲の志を持つ若い人たちが大挙して現れ、元気はつらつの移民国家を築いてくれるだろう。

われわれの祖先は不屈の精神で幾度もの民族的危機を乗り越えてきた。人口ピラミッドの崩壊が引き起こした日本民族の消滅危機も、日本人は民族の底力で克服するだろう。それだけで終わらない。移民国家ニッポンの精鋭たちは、人類共同体の理想を掲げ、世界各国の少年少女たちが日本への移住を憧れる「移民の理想郷」の創成に向かって歩を進めるだろう。

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