自作自演で国の政策を実現した人生

坂中提案

移民国家の建設に前途遼遠を感じる時があった60代の後半はあまり元気がなかった。前途に光明が見えた70代になって気分が若返ったように感じる。

いま現在は、老いて夢がふくらむ人生をエンジョイしている。頭に浮かんだインスピレーションを移民政策研究所のウェブサイト(坂中提案)において紹介し、さらにそれを一冊の本にまとめるのが生きがいになり、移民政策研究に拍車をかけている。洞察力、発想力の衰えは感じない。いや、「移民」をキーワードに人口減少社会が抱える問題の核心に迫る筆力は今がピークなのかもしれない。この貴重な時間を大切に使う必要があると思っている。

日本に残った最強のタブーとされる移民鎖国問題と取り組むに当たっては、社会に衝撃を与える政策論文を連発して世論喚起に努めるなど必死の覚悟で事に臨み、今日まで命をつないできた。もっぱら言論で勝負する無手勝流を通したが、よく首がつながったものだと自分でも感心する。

法務省時代、私はよく入国管理局の幹部から、「自分が提案した政策を実現することができたのだから、君の役人人生は幸せだなあ」と言われた。2005年に退任のあいさつで訪れた際、当時の検事総長から、「坂中さんの歴史は入管の歴史そのものだった」というお褒めにあずかった。これらの過分の言葉をどう受け止めればいいのだろうか。「『坂中論文』(1975年)以来、誰も手をつけなかった移民問題と取り組み、自作自演で国の政策を実現したことが評価されたのだ」と、当時の私は理解した。同時にそのとき、「いい上司といい時代に恵まれ、有言実行の生き方を貫くことができた私は幸せ者である」と思った。

もしかすると私は、問題を発見する能力と、解決策を立案するひらめきと、勝負どころで決める六感を、天性の才能として天から授かったのかしれない。あるいは、遠大な構想を立てる異能の持ち主なのかもしれない。

しかし、現在の私にとって過去の実績はどうでもいいことだ。問題はこれから何をするかである。今の私は足下現実に即して考えめぐらし、日本が直面している存亡の危機を救うため日本大革命の道筋をつけたいという思いがつのる一方である。

近年に至り、天の助けを借りて国家の大事をなすのはよくないと考えるようになった。すでに十分幸運をいただいたという思いが強い。48年の職業人生で天から賜った運を使い切ったという思いもある。先が短い私のことはどうでもいいという気持ちもある。新しく生まれる移民国家に天運が降り注ぐことを希望する。

移民国家を立国することについては、私のリーダーシップで国民の心を一つにまとめたい。ライフワークは神様に頼らず、自分の力で完結すると心に決めている。

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