純粋民族は存在するのか?

坂中提案

世界の多士済々が永住を希望する国にならなければ日本の明日はない。人口減少期に入った日本は、先祖代々の日本人だけで国家・社会・経済を運営する時代は終わった。

移民反対派の人たちは、移民が入ってくると、日本民族と日本文化の純粋性が損なわれると主張するが、日本民族も日本文化も純粋培養されたものではなく、外来の要素がまじりあって形成されたものであることを理解していない。

日本文化がこれだけ多くの外国人観光客をひきつけるのは、日本の文化が世界各国の文化を相当程度取り入れたハイブリッド文化だからである。たとえば、東大寺の正倉院宝物を見ればそのことは明らかである。奈良の大仏は当時の世界の文化の粋を集め、インド、中国などから来た技術者の協力を得て建造されたものである。

言語、料理、宗教、思想、美意識、社会規範などの日本文化は世界のどの民族も理解可能で普遍的なものである。仮に全然まじりけのない純粋文化だったとしたら、外国人観光客はそんな日本文化に共感を覚えないであろう。

およそ外来の民族の血がまったく混じっていない純血民族などこの世に存在しない。人類史はヒトの移動と定住の歴史であった。同時に、ヒトは異なる民族間で結婚と混血を繰り返し、多様な雑種民族に分かれた。

今日、地球上に存在する民族はすべて移民の末裔である。日本では一千年以上も移民鎖国状態が続いたので日本人は比較的純血度の高い民族であるが、それでも、太古の昔から今日まで世界各地から日本列島に移住してきた民族の血が入って形成された雑種民族であることに変わりない。

話は飛躍し、千年後の人類社会を展望する。その時代は地球上から地理的・国家的・文化的障壁が完全になくなっており、異なる民族間の結婚と混血が地球規模で飛躍的に増加し、人類は人種的に単一の存在になる方向に急ピッチで進んでいる。それは単一の種から進化した人類のいわば先祖返りの動きであり、究極の雑種民族としての地球人への進化の途上と位置づけられる。おそらくその時代よりもはるか前に、「ハイブリッドジャパン」と「核兵器のない世界」が実現しているであろう。

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