米国は日本の移民開国を期待している

坂中提案

2010年2月、ワシントンポスト紙のリー・ホックスタッダー論説委員(当時)が、「日本の移民受け入れに対する姿勢、態度の変化」のテーマで取材を行うために私を訪ねてきた。同紙の取材を受けるのは2007年12月と2009年1月に続いて三度目である。米国の代表的なクオリティーぺーパーは、2009年1月23日の一面で「日本の人材育成型移民政策は革命的」と世界に発信するなど日本の移民政策に寄せる関心は並々ならぬものがある。

ワシントンポストの論説委員は「日本型移民国家の構想」(2009年、移民政策研究所刊)の英語版(Towards a Japanese-style Immigration Nation)を読んでおり、中身の濃い議論ができた。米国は「日本の移民大国への転換」を期待しているのではないかと私が尋ねると、彼はにっこり笑った。

2時間の取材が終わって意気投合した。私が見送ったとき、彼は「『Lonely Battle』ですね。がんばってください」と述べて強く握手した。

ワシントンポストの一連の取材と報道を通して、アメリカは日本の移民開国を望んでいると理解した。だからワシントンポスト紙は、私の立てた移民国家ビジョンを破格の扱いで世界に紹介するのだと思った。

アメリカ政府は、アジアで最も信頼する同盟国の日本が、人口危機の問題に適切な手を打たず、国際社会での存在感を急速に失っていくのは、アメリカのアジア戦略上も好ましくないと考えているのではないか。いや、もっとポジティブな思惑があるのかもしれない。これは私の想像だが、日本がアメリカと国家理念を共有する移民国家の仲間入りをし、日米同盟の絆がいっそう深まることを望んでいるのではないか。

以上のように考えた。その後も、ニューヨークタイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、AP通信などアメリカを代表するメディアが私の移民政策論を好意的に報道する状況が続いているので、当時の私の見方は正解だったと思っている。

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