1. TOP
  2. 政策提言
  3. 筆一本で日本と世界の歴史を動かす

筆一本で日本と世界の歴史を動かす



 その時から48年が過ぎたが、1975年の坂中論文の坂中英徳は今も現役で活躍中である。筆力は77歳の今が頂点にあると感じる。論文を書くのが本職になった私は60冊余の本を出版した。

 いずれの本も渾身の力をこめて書いた。練りに練った政策論文を書いた。気宇雄大なタイトルを見て、国の重要政策に関わる論文の執筆に執念を燃やした日日のことが目に浮かぶ。

 ひとつひとつの論文の創作に全知全能を傾けた。これらの作品を完成させるのに生みの苦しみを味わった。政策も理論も自分の頭から絞り出したものばかりである。西洋人の借り物の思想は一つもない。内容的にも質的充実に努めた。移民国家構想の根本理念の部分は変わらないが、人類共同体論や日本革命論などスケールの大きい論考が加わり、問題意識も世界の移民政策のあり方にまで広がり、思想も深化し、世界の知性が驚く斬新な理論へと発展した。画期的な業績を残したことに鑑みると、私は移民政策論文を書く天賦の才に恵まれたのかもしれないと思う時がある。

 なお、移民政策研究所から出版した50冊余の私家本は、中身は大手の出版社から出たものにひけをとらない力作ぞろいであるが、これを読む人は100人の知友に限られる。世間にその存在すら知られない無名の著作たちが世の中の一隅を照らすことができれば大きな喜びである。

 以下は私の希望的観測である。21世紀の日本において論評の対象にすらならない坂中英徳著作集は近未来の地球市民の必読書の定評がある。核戦争が切迫する時代の人類共同体哲学は「人類の未来を照らす鏡」という評価が定まっている。国境の壁が崩壊する1000年後には人類の未知の領域を開いた坂中英徳は「人類の希望の星」という名で呼ばれている。