移民革命の先達

坂中提案

私が提唱する移民国家ビジョンに関し、次のような感想が寄せられている。「千年来の移民鎖国からの歴史的転換」(日本文明史家)。「明治維新以上の革命」(外国人問題の研究者)。「憲法改正以上の難事業」(都議会議員)。「壮大なユートピア計画」(全国紙の記者)。「移民革命の先導者」(米国人ジャーナリスト)。「日本の救世主」(英国人ジャーナリスト)。「世界の救世主」(在日パキスタン人)。「ミスターイミグレーション」(日本外国特派員協会幹部)。

日本の歴史を概観すると、日本人は改革を重ねて生き延びるのは得意だが、根本的変革や革命を好まない民族ではないかと思うことがある。

日本の歴史上、「大化の改新」と「明治維新」はれっきとした新国家の建設であったが、なぜか日本人はそれを「改新」「維新」と呼んで「革命」とはいわない。日本人は国の断絶を嫌い、国の連続性を尊ぶ民族なのだろう。わたしは、日本人が綿々と守ってきた国柄、すなわち国民の安寧を第一とする国のあり方を誇りに思うことでは人後に落ちない。日本人は本物の革命をやらなかったかもしれないが、先人の英知と努力のおかげで、日本文明は地球文明のなかで確固たる地位を占めている。

ところが今日の日本は、世界の歴史にもほとんど例を見ない人口秩序の崩壊という国家的危機にある。私は国家公務員の職を辞した2005年4月、日本文化の担い手が消えてゆく日本開びゃく以来の危機に立ち向かうにあたって、中途半端な改革をいくらやっても日本民族の永続の可能性は薄いと判断した。そのとき、日本の歴史に例のない危機には日本の歴史上初めての日本革命で応じなければならないとひらめいた。同時に、移民革命の先達として、「千年に一度の人口危機には千年に一度の移民革命で対処しなければならない」と心に誓った。

なお、そのアイディアは2005年3月刊の『入管戦記』(講談社刊)の第9章「2050年のユートピア」として公に発表した。日本が大きく舵を切って、2000万人の移民を受け入れ、多民族共生社会の理想に向かって一路邁進したという前提で、2050年の日本の姿を描いた。

その時から現在まで、執筆活動、講演活動などを通して移民革命のオピニオンリーダーの役をつとめている。国内の一握りの反移民分子から売国奴呼ばわりされているが、世界の知識人の中には「救世主」と評価するむきもある。自分では憂国の思いが強い熱血漢だと思っている。

日本史上最大規模の移民を入れる移民革命は劇薬だ。だが、それはいわば日本民族の自然死の進行をとめる万能薬である。移民を入れると直ちにききめが現れる即効薬でもある。 
究極の目標は日本文明のルネサンスだ。世界文明にとってかけがえのない存在の日本文明が永遠に存続することだ。

われわれの祖先は不屈の精神で幾度もの民族的危機を乗り越えてきた。人口ピラミッドの崩壊が引き起こした日本民族の消滅危機も、日本人は民族の底力で克服するだろう。のみならず、移民国家ジャパンは人類共同体の理念を掲げ、世界の少年少女たちが移住したいと憧れるユートピア社会の実現につとめているだろう。

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