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移民法制の二本柱――移民法と移民協定

 以下に移民法制の骨子案を提案する。これをたたき台にして、政治家、行政官の間で真剣な議論をしていただきたい。

 第一に、政府は世界各国の国民をバランスよく受け入れることを移民政策の基本にすえ、「日本の移民政策は公平を鉄則とする」と「移民法」(新法)で宣言する。そのうえで国別の量的規制を行なう根拠規定を設ける。それとともに、世界中から優秀な人材を計画的かつ確実に受け入れるため、多数の友好国との間で「移民協定」を締結する。

 政府は、移民法の規定に基づき、人材需給の逼迫状況、受け入れ体制の整備状況、移民の社会適応の進捗状況、移民協定の履行状況、日本を取り巻く国際環境、移民政策に寄せられる国民の意見などを総合的に勘案して年次移民受け入れ基本計画を立てる。

 計画の策定に当たっては、移民協定を結んだ国や、国民の好感度の高い移民の出身国に配慮し、年間の国籍別移民受け入れ枠(一国の上限は一万人)を決定する。移民受け入れ計画は内閣府(移民庁)が策定し、国会の承認を得るものとする。国会の承認を求めるのは、政治家、国民の合意の上で移民政策を円滑に進めるためである。

 第二に、移民法制の整備の一環として、入管法と国籍法を改正する。入管法を改正し、移民候補となる外国人のカテゴリー(在留資格)を大幅に拡大する。たとえば、「農業」「漁業」「流通業」「商業」「建設業」「重工業」などの在留資格を新設する。また、各方面から厳しい批判を受けている退去強制手続きに関し外国人の人権に最大限配慮した法制度に改める。たとえば刑事手続きに準ずる身柄拘束手続きに改めることなど。

 国籍法を改正し、主要先進国の例にならい、二重国籍を認めることにする。さらに、国籍の付与において出生地主義を一部取り入れる。すなわち、移民二世・三世に最も安定した法的地位(国民)で居住してもらうため、永住者(移民)の子として本邦で出生した者については出生の時に日本国籍を取得できるようにする。また、国籍行政と入管行政の連携を密にする。

 なお、日本版奴隷制度の悪名が高い技能実習制度の全廃が適正な移民法制を確立するための前提条件であることは論をまたない。