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移民政策論の出発点――坂中論文

 坂中論文の著者は今も現役である。一つの論文が一人の国家公務員の一生を決めた。坂中論文を移民政策論の原点と位置づけ、マイノリティ問題の解決に人生のすべてをかけた。タブー視して誰も近づかない原野を切り開く道を進んだ。

 渾身の力を込めた論文は知識人からも政治家からも一顧もされなかった。平安時代から続く移民鎖国のイデオロギーをくつがえすのに孤立無援の闘いを強いられた。反坂中の空気が充満する中、坂中論文の著者は移民国家理論の頂点をめざした。

 「移民1000万人構想」と「人類共同体ビジョン」の旗の下に日本を理想の移民社会へ導くため一本一本の論文に精魂を込めた。そして2020年2月。坂中論文以来の知友のテリー・E・マクドゥガルスタンフォード大学名誉教授を筆頭に世界の知性が絶賛する移民政策理論の金字塔――『Japan as an Immigration Nation』(移民国家日本)を打ち立てた。海外の知識人の眼には、人類共同体哲学の創始者は「千里眼の持ち主」と映るようだ。

 21世紀のいま現在は私の移民政策論に共鳴する日本人は皆無に等しい。むろん政府の了解を得た国家ビジョンというわけではない。それどころか一握りの極右の知識人から「危険な革命家」と恐れられている。しかし100年後の移民総活躍時代には坂中ビジョンに共鳴する日本人が続出するだろう。