移民政策研究所長の十年

坂中提案

移民政策研究所長の10年を振り返ると、移民国家構想が完全に無視される逆境の時代が続き、なにもかもほうり投げたい気持ちにかられる日があった。いっぽう、人口崩壊の危機の迫る日本を救うため移民国家の旗を振り続けなければならないと使命感に燃える日があった。そんな心の葛藤の日々が続いた。

しかし、2013年の春、歴史的な仕事にめぐりあった幸運をつかみ、世界に冠たる移民国家像を創作することが、私に課せられた使命であると悟った。
 
現在は、移民国家の設計者の天職を授かった運命に感謝し、移民国家の理論的基礎を固めるべくまい進している。以下は、この10年間に発行した移民政策関係の著作一覧である。毎年のように本を出版した。その甲斐があって坂中移民国家論はより説得力のあるものになったと思う。

①『移民国家ニッポン――1000万人の移民が日本を救う』(共著、日本加除出版、2007年)
②『日本型移民国家の構想』(移民政策研究所、初版2009年6月、増補版同年9月)
③『Towards a Japanese-style Immigration Nation』(移民政策研究所、2009年)
④『日本型移民国家の理念』(移民政策研究所、2010年)
⑤『日本型移民国家への道』(東信堂、初版2011年、増補版2013年、新版2014年)
⑥人口崩壊と移民革命――坂中英徳の移民国家宣言』(日本加除出版、2012年)
⑦『Japan as a Nation for Immigrants』(移民政策研究所、2015年)

人口激減時代の生産労働人口を補うため、いったいどのくらいの移民を受け入れる必要があるのか。移民をどんな産業分野・職種に就かせるべきか。どのような仕組みで移民を受け入れるのがいいのか。どの国からどのくらいの数の移民を入れるのが適当か。政府は移民をどのように処遇する必要があるのか。日本人と移民がひとつの国民でまとまる社会をどうすればつくれるのか。

以上のような問題意識から移民政策の立案に専念し、前記の政策論文集を書いた。その業績が認められたのだろう。まさに今、日本丸は移民国家への歴史的な第一歩を踏み出した。

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