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移民政策研究所が消える日

最近の私は、どのように生きれば人倫にかなう形で最期を迎えられるかについて真剣に研究している。坂中論文の著者の名を汚すことがないよう筋を通すこと、論文を書く力が尽きたと自覚した時には直ちに移民政策研究所の看板を下ろすこと、以上が私の思い描く引き際のシナリオである。

1975年の『今後の出入国管理行政のあり方について』から2019年の『日本型移民政策論集成』までの44年間、40冊余の著作物は、左翼と右翼の双方から身の危険を感じるような攻撃にさらされた。のみならず劣化が著しい日本の知的世界は論文の存在自体を頭から無視した。前途が真っ暗の絶望感にさいなまれる日々が続いた。
 
しかし、彼らとはしょせん棲む世界が違うと割り切った。そしてそれに抗するかのごとく執念を燃やして論文を書き続けた。移民革命の先導者としての意地を通した。論文を書く気力が失せた時が人生の最期を迎える時であると思っている。

学生時代から「無名の人」として生涯を終えるのが定めと思っていたが、「坂中論文」「ミスター入管」「反骨の官僚」などのレッテルを貼られて平穏な生き方は早々に断たれた。注目される立場になった以後は緊張感のゆるむことのない人生を過ごしてきた。そのような重荷を背負う、自由に身動きのできない立場から早く解放されたいというのが今の正直な気持ちである。移民政策研究所の存在の必要性がなくなる日を待っている。