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移民政策研究一本の道

 1975年に『今後の出入国管理行政のあり方について』(坂中論文)という古典的論文を書いたことで私の一生が決まった。自然の流れで移民政策研究一本の道を歩むことになった。

 その時から令和の今日まで坂中論文の名に恥じぬ論文を書くことを誓い、世界のトップレベルの政策論文を絶え間なく書いてきた。その努力が実を結び、坂中論文の究極の発展形態と言うべき移民国家ビジョンが、人口ピラミッドが崩壊する日本の未来を左右する国家百年の大計に発展した。のみならず世界の移民政策をリードする世界ビジョンに飛躍した。

 坂中論文以後の努力の結晶が60冊余の坂中全集である。これらの作品はすべて国のあり方を根本から問うものだ。中でも役人を辞めた2005年以後に書いた50冊余の著作集は移民国家日本の創建を視野に入れた移民立国論である。

 移民政策のプロフェッショナルの人生を思い起こすと、とりわけ法務省入国管理局の地方局長時代の1997年から移民政策研究所の所長時代の2023年までの26年間は、日本型移民国家理論の完成を目ざして精進した。

 移民国家日本の青写真を描くという重い課題と取り組んだ成果物が、『在日韓国・朝鮮人政策論の展開』(日本加除出版、1999年)、『日本の外国人政策の構想』(日本加除出版、2001年)、『入管戦記』(講談社、2005年)、『日本型移民国家の構想』(移民政策研究所、2009年)、『日本型移民国家への道』(東信堂、2011年)、『人口崩壊と移民革命――坂中英徳の移民国家宣言』(日本加除出版、2012年)、『日本型移民国家の創造』(東信堂、2016年)、『坂中英徳 マイ・ストーリー』(移民政策研究所、2020年)、『人類共同体哲学入門』(移民政策研究所、2021年)、『移民社会の理想像を求めて』(移民政策研究所、2021年)、『移民国家日本は世界の頂点をめざす』(移民政策研究所、2022年)、『核戦争時代の人道危機を救うのは私の使命』(移民政策研究所、2022年)、『人類共同体哲学は核戦争時代の平和の光』(移民政策研究所、2023年)などの著作たちである。

 なお、2020年に英文著作の代表作――『JAPAN AS AN IMMIGRATION NATION』(LEXINGTON BOOKS 2020)を発刊した。

 以上、これを要するに坂中論文『今後の出入国管理行政のあり方について』(日本加除出版、1989年)を大黒柱とし、その後に執筆した論文集を支柱とし、これらを体系的にまとめたものが坂中英徳の移民国家創成論である。坂中論文を移民政策理論の根本にすえ、それ以後に理論展開した移民政策論文集が骨となり肉となり血となって移民国家日本の土台となる理論大系が完結した。