移民政策成功の秘訣

坂中提案

日本の移民政策の成功は、世界中の青少年を日本の高等職業専門学校・大学・大学院などの高等教育機関に引き寄せ、十分に教育し、グローバル人材に育て上げるかどうかにかかっている。文部科学省と大学は連携して、移民時代に備え、次のような大学改革を行う。

第一に、留学生30万人制度を確立する。世界最高水準の留学生教育を実施する体制を早く整え、世界各国の学生を公平に入れる戦略的留学生政策を展開する。

そのためにまず、中国人が留学生の60%(14万人の留学生のうち9万人が中国人)を占める現在の寡占状態を抜本的に見直す。向こう10年間で中国人留学生の占める割合を10%以下の水準にまで引き下げる。

第ニに、国は、高等職業専門学校や大学などで専門知識・技術を身につけた留学生については、日本人の学生と対等の立場で就職戦線に参加し、しかるべき職業についてもらうため、機会均等と同一労働同一賃金の原則を遵守するよう企業等を指導し、外国人の就職環境の改善をはかる。

移民革命と大学革命がめざす方向は同じで、世界人材の育成である。その意味では、2008年に当時の福田康夫内閣がうちだした留学生30万人計画は、移民教育を重視する日本型移民政策の強力な推進力となるものだ。

現在、日本の大学等を卒業後も日本にとどまる留学生は30%ほどである。移民政策で生産人口を増加させるために、この数字を70%近くまで引き上げる必要がある。

国は、高等職業専門学校で専門知識や高度技術を身につけた留学生には、有能な人材を渇望している農林水産業、介護福祉産業、製造業などの職場を紹介する。大学、大学院を卒業した留学生については、日本人の学生との機会均等を保障し、多文化・多言語を身につけたグローバル人材の活用を日本企業に勧めるなど、留学生の就職率の向上をはかる。

同時に、世界市場での生き残りがかかる企業は、経済のグローバル化に対応できる人材を確保する観点から、積極的留学生採用計画を立てる。

これだけで十分とはいえない。法務省入国管理局が留学生優遇政策を打ち出す必要がある。大学・高等職業専門学校への入学が決まった外国人には、直ちに「留学」の在留資格(在留期間は在学期間に応じ4年、3年、2年)を与える。大学等を卒業し、日本の会社などへの就職が決まった外国人については、原則として、留学の在留資格から就労関係の在留資格への変更を認め、入国後5年を経過した時点で「永住」を許可するものとする。
 
以上の留学生関連改革を行えば、日本の高等教育機関は世界中から志のある若者が集まる人材の宝庫にして移民の豊かな供給源になる。そうなれば日本型移民政策の基礎が確立され、1000万人の移民受け入れが順調に運ぶであろう。

ここで日本企業の世界進出のあり方について付言しておきたい。地球時代の今日、世界の問題に精通する世界人材がいない企業は世界市場から取り残される。特に、日本人は民族問題と宗教問題に疎い面があるので日本人オンリーの企業は多国籍の人材を多く抱える世界の企業と五分に闘えない。たとえば、民族・宗教対立に起因して世界の至るところで起きているテロ、人質事件、内乱などの問題に的確に対応できない。

海外市場を相手に仕事をする場合、日本人だけで企業経営をやっていたのでは、刻々変化する世界の動きが読めない。外国人の趣向や価値観をよく知る人材が社内にいないと、海外の顧客が何を求めているのか、どんな商品を提供すれば売れるのかがわからない。

日本企業のきめ細かなサービスや精巧な製品自体はすばらしいものであっても、外国人の好みに合わなければ海外では勝ち目がない。

そういった外国の伝統文化や外国人のものの考え方について純粋無垢な面がある日本人は十分理解できないところがある。だからこそ海外事情に詳しい外国人を積極的に採用する企業が増加しているのだろう。

企業が外国人を採用する場合、人事、給与、昇進などは日本人と平等にすべきだ。自由競争、実力主義が原則だ。日本人と外国人とのスタートラインを一緒にし、有能な人材であれば、国籍を問わず抜擢する。企業のトップに外国人新卒者が昇進できる道も開く。

企業の経営体質を世界の人材に開かれたものに改めないと、優秀なグローバル人材は日本企業に見向きもしない。企業には数十年先の日本と世界の進む方向を見越した外国人採用計画を期待する。

« »