移民政策を政治の争点にすべき

坂中提案

人口崩壊に起因する日本の全面崩壊を免れる道はあるのか。起死回生の策がある。「出生者人口」と「移民人口」を増やすことだ。理論上それ以外に人口問題の根本的解決策はない。

 日本の人口動態は「出生者」と「死亡者」と「移民」の数で決まる。人口が長期的に安定するとされる2・07の出生率を国家目標に定め、たとえば幼稚園から大学までの教育費の全額を国が負担するなど思い切った出生者を増やす政策を打ち出すとともに、速やかに移民大国へ転換して移民人口を飛躍的に増加させることだ。

 付言すると、出生率が2・07に回復し、出生者数が増加基調になるまでには世紀をまたぐ年月を要する一方、移民政策は即効性にすぐれている。政府が移民政策を実行すれば直ちに移民人口が増える。

 移民国家の議論が始まったのに抗するかの如く、移民問題が政治の争点となるのを避けたいという思惑がある政治家は、50年後の1億の人口目標を掲げる一方で、いまさらながら女性・高齢者・外国人労働者の活用と生産性の向上を強調している。

 しかし、それらの政策の本質は経済政策であって、日本の興亡がかかる少子化対策とは次元を異にする。たとえそれらの政策を総動員したとしても、人口問題の根本的解決には結びつかない。人口増と国民増に直結する移民政策を欠く人口減少対策は絵に描いた餅に終わると断言してはばからない。

 あるいは、政府首脳の間で移民政策は「万策尽きて最後に出す切り札」として温存しようという暗黙の了解があるのかもしれない。しかし、仮にそんな空気が政界に蔓延しているとすれば、切羽詰った日本にそんな余裕はないといわなければならない。

 世界の先頭を切って超少子化と超高齢化が同時進行する日本は、移民政策を喫緊の政治課題として取り上げ、移民国家大論争の帰趨が明らかになるやいなや内閣総理大臣が移民立国の歴史的決断をしないと、アベノミクスが失速するばかりか、財政破綻=社会保障制度の崩壊へのカウントダウンが始まると明言しておく。

 私は人口崩壊の危機を、日本が移民国家を創建する千載一遇の機会だと言い続けてきた。オ―ルジャパンで千年に一回の日本革命を成し遂げようではないか。移民革命で日本史上最大の危機を乗り切り、活力みなぎる日本を創生しよう。

 このビッグチャンスをつかむのは平成生まれの若者たちだ。若い世代が先頭に立って歴史的な第一歩を踏み出し、日本再建を双肩に担うのだ。

 最新作の『新版 日本型移民国家への道』(東信堂刊)は、人口秩序崩壊の脅威にさらされている祖国を救いたい一心で立てた国家ビジョンである。言うまでもなく空理空論ではない。35年の外国人行政の実務経験に裏打ちされた実践的な移民国家建国論である。

 2005年に法務省入国管理局を退職後、移民政策研究所所長として移民政策に関する理論的研究に専念し、多くの論文、著書を発表した。努力の甲斐あって、2014年に移民政策がにわかに政治課題にのぼった。同年2月13日の衆議院予算委員会において安倍晋三首相は民主党の古川元久委員の「移民の受け入れ」に関する質問に対し、「国民的議論を経た上で、多様な角度から検討する必要がある」旨の答弁を行った。

 2015年を移民政策大論争に決着をつける年にしよう。私が移民国家の議論の先導役を務めるので、政界をはじめ各界各層の間で徹底した議論を行ってほしい。そのうえで、移民問題は国の形を決める国家政策の最たるものであるから、内閣総理大臣の政治決断に日本の運命をゆだねよう。

 

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