移民政策の世界的権威が坂中移民政策論を評価した

坂中提案

私は世界経済フォーラム主催の「移民に関する世界有識者会議」(2010年11月29日から12月1日、於アラブ首長国連邦のドバイ)に参加した。この会議には、国連難民高等弁務官事務所、ヨーロッパ委員会および世界銀行の移民・難民担当の責任者を含む、長年移民政策の立案と実行にかかわってきた世界の有識者12名が集まった。

会議の目的は、リーマン・ショック以後における各国の移民政策は行き詰っているとの共通認識のもと、20年後の世界を見据えた新しい移民政策の理論的枠組みを構築しようというものであった。

私は同会議において英語の小論文『坂中英徳の日本型移民国家宣言』を提示し、世界の移民政策の権威に批判と助言を仰いだ。具体的には、①日本が移民国家になることについての見解、②日本が移民政策を立案するに当たって参考とすべき点、③坂中英徳の日本型移民国家構想に対する見解について意見を求めた。

すると、移民政策理論の世界的リーダーで同会議の議長を務めたデメトリーG・パパデメテリゥ氏から、望外のコメントが寄せられた(2010年12月10日付けのメ―ル)。

〈あなたの論文は、私がこれまで読んだ移民政策分野のどの論文よりも新鮮で創造性が豊かなものです。なぜなら、移民受け入れと社会統合という両立しがたい難問を解決しようとしているからです。提案の「言語教育、職業訓練、文化教育を行って、移民を日本に迎える」という戦略は、人口統計学的なメリットとともに、若い移民に焦点を当てている点がすばらしい。また、移民に対する永住権(究極は市民権)の付与を強調されているが、それは「日本は外国人を受け入れる責任と準備ができている」ことを移民に理解してもらうための最善の方法です。〉

移民政策の世界的権威がその創造性を評価した坂中構想の着想の原点はどこにあるのだろうか。日本型移民国家ビジョンは、人類未踏の多民族共生国家の創設、地球規模での人類共同体の形成、恒久的な世界平和体制の構築の三本柱からなる。22世紀の新しい世界秩序の形成を視野に入れた、日本人の持つアニミズム的世界観から生まれた独創的移民国家構想である。

概して言えば、欧米の移民政策の研究者たちは、実務家の立場から、当面する移民関連の問題について論じる。それに対してわたしは、永年の思想遍歴で身についた文明論的発想と民族学的視点から、人口崩壊の危機が忍び寄る日本の起死回生策としての移民政策を提案している。国を思う志の高さと幅広い教養がそれと関係があるのではないか。

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