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移民政策に関心を持つ中学生・高校生

(1) 2014年8月、都内の高校に通う女子生徒(3年)が訪ねてきた。「日本の移民政策と日本語教育」のテーマで1万2000字の卒業レポートを書くのだという。彼女は移民政策研究所のホームページの「坂中提案」を熱心に読んでおり、移民に対する日本語教育の重要性を理解している。人材育成型移民政策のエッセンスものみこんでいる。私の教えることはあまりないなと、話をはじめてすぐにわかった。そこで、英語もしくは母国語による日本語教育法の開発の必要性や、移民の立場に配慮した日本語教育の重要性、八百万(やおよろず)の神々を信仰する日本人の宗教心と移民受け入れとの関係などについて討論した。会話が弾んで楽しかった。

彼女の学ぶ高校の先生と塾の先生が授業で「移民の受け入れをどう思うか」を各生徒に質問したということである。それで彼女は移民問題に関心を持つようになったのだという。移民の受け入れが高校生の世界で話題になっていると聞いてうれしかった。来年大学に入学したらまた会いましょうと約束して別れた。

(2) 2015年11月、中学2年生の訪問があった。学校に提出するため、移民問題に関するレポートを書くのだという。彼は移民政策研究所のホームページで移民国家構想を読み、移民政策の必要性を理解している。人口崩壊の問題についても関心が深い。人口減少問題と移民政策の関係、坂中移民政策論の要点などについて鋭い質問があった。1時間30分、ハイレベルの討論ができた。14歳の中学生が日本型移民政策を正確に理解しているのに感激した。楽しいひと時をすごした。

前途有為の少年である。『入管戦記』『新版 日本型移民国家への道』『Japan as a Nation for Immigrants』をプレゼントし、将来の再会を約束した。

(3) 2016年11月、人口問題の解決策としての移民政策に関心を寄せる3人の中学生が訪ねてきた。この3人が学ぶ岡山県立操山中学校では、総合的な学習の時間を「未来航路プロジェクト」と名付け、生徒一人ひとりが自分で考えて研究課題を設定のうえ追究学習を行い、卒業時には20ページの卒業論文をまとめ、発表するならわしになっているという。

3人の生徒は、日本の人口減少問題を解決するためにも、日本も移民政策を導入すべきと考え、移民問題を研究テーマに選んだという。以下は岡山の中学生の質問要旨である。問題の核心を突いたいい質問である。

〈移民を大量に入れるとなると、やはり移民してきた方々が孤立していくケースが考えられます。そのため、子どもの受け入れを多くし、日本の文化に幼いころから触れることによって、文化の壁を取り払うことができると考えました。子供の受け入れについてどこの地域から受け入れるべきかをお聞きしたい。〉

〈現在、世界的に難民の問題が広がっています。そのような貧しい地域から親がいないなど困っている子どもたちを受け入れることによって、その方々の問題を解決するとともに、日本もいい方向に持っていけるのではないかと考えています。〉

〈世界の移民国家で移民の受け入れを拒否する動きが見られますが、日本は移民を積極的に受け入れるべきという坂中さんの考えに変わりありませんか。〉

3人中学生の問題意識と見識はすばらしい。質問に触発されて専門的なことに話が及んだが、議論がかみ合った。1時間30分、中身のある討論ができた。欧米の移民大国が反移民に舵を切っても移民政策を推進する私の考えに変わりないと述べると、3人の顔に安堵の表情が現れた。最新作の『私家版 日本型移民国家が世界を変える』を手渡して一読をすすめた。別れ際に「移民政策の研究を続けてください」と言い添えた。

移民政策の研究にいそしむ中学生・高校生は日本の未来を切り開く「金の卵」である。心のやさしい少年・少女たちが率いる移民国家ニッポンは「世界で一番移民が住みたい国」のトップに躍り出るだろう。