移民国家議論の帰趨が明らかになった

坂中提案

法務省時代・移民政策研究所時代の46年間、わたしは日本人の誰も手を付けようとしなかった移民政策の立案に力の限りを尽くした。徹底した自己批判と推敲の繰り返しが不朽の移民政策論文に結実した。移民政策研究の世界的権威が「新鮮で創造性の豊かなもの」と評価する移民国家理論の完成である。未踏の原野を開拓者精神で突き進めば大きな目標に到達できるという典型だ。

現在は、移民政策研究所の所長の立場から、世界の若人に夢を与える移民国家の樹立を政府と国民にお願いしている。日本文化にあこがれる世界の若者の夢をかき立て、世界のえり抜きの人材が日本への移民を希望する移民国家の建国である。

その一方で、私の政策提言に対して違和感を覚えた日本人は多数いると想像するが、理論的反対論も感情的反発もほとんど見られない。各方面から袋だたきにあうと覚悟していたが、さいわいそういう目にあわずにすみそうだ。欧米では移民の大量流入に対する恐怖感を抱く国民が急増しているが、人口崩壊危機が迫る日本では国民的規模での移民反対運動が起きることはないと見ている。

2016年10月のいま現在。移民国家議論の帰趨が明らかになったといえる。すなわち、20代の若者の50%が移民の受け入れに賛成の読売新聞の世論調査、超党派で移民問題に取り組む政界の新しい動き、日本の移民開国を迫る英国エコノミスト誌の移民特集記事、黒田日銀総裁の移民積極発言など、時勢は移民政策に傾いた。

日本再生のかかる移民国家構想が正念場を迎え、主役の移民政策研究所長の真価が問われる。心身ともに元気で活躍できる期間は短いと心得、移民国家の創建に全知全能を傾注する。

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