移民国家日本は世界経済のけん引役を担う

坂中提案

2013年6月20日、東京で『ウォール・ストリート・ジャーナル』(ビジネス・アジア)の編集長のジョセフ・スターンバーグ氏の取材を受けた。人口崩壊と移民政策とアべノミクス(特に成長戦略)の関係に焦点をしぼって議論した。人口崩壊が迫る日本の成長戦略には移民政策が欠かせないとの認識で一致した。その時の私の発言要旨は次のようなものであった。

〈少子高齢化が激化する状況下でアベノミクスが日本経済を成長軌道に乗せるのは至難の業だ。生産年齢人口を増やす効果のある移民政策を抜きに日本の実のある成長戦略は立てられない。〉

すると6日後の26日。スターンバーグ編集長の書いた論説がウォール・ストリート・ジャーナル紙(アジア版)のオピニオン欄に載った。

タイトルはそのものずばり「アべノミクスに欠けている矢――移民政策」。そこでアベノミクスにおける移民政策の必然性が明快に示された。この記事は日本の政界・官界・経済界と世界の投資家に大きな影響が及んだと思われる。

〈安倍首相が名祖の日本経済再生プログラムで象徴的な改革を一つ挙げるとするならば、移民政策だろう。
 新たな消費者や労働者を輸入する形になる移民は、企業による国内の設備投資を刺激する上できわめて重要である。納税人口の基盤が拡大すれば、日本政府の財政状況も改善される。移民には国外からの直接投資を推進し、生産性を高める効果もある。
 こうしたことから、移民改革は安倍首相が約束した大胆で根本的な変革そのものとも言える。ところがアベノミクスにおいて移民改革が最も象徴的なのは、日本の将来にとって重要であるにもかかわらず、ほぼ完全にアジェンダから漏れているという点なのだ。
 移民政策研究所の坂中英徳所長によると、日本が人口の自然減を相殺するためには、2050年までに1000万人もの移民が必要だという。安倍首相が掲げる他の目標の多くも、最終的には移民にかかっている。たとえば安倍首相の計画は、母親の仕事復帰を促すために開設される数千もの託児所で働き手が確保できるのかという疑問に答えていない。その最も妥当な解決策は移民であろう。〉
 
世界大恐慌の気配すら感じる最近の経済情勢に強い危機感を覚える。以下に、日本経済・世界経済と日本の移民政策の関係について所感の一端を述べる。

〈生産人口と消費人口が激減する日本の経済を安定軌道に乗せるには、生産者であり消費者である移民人口を安定的に供給する移民政策をフル活用する必要がある。安倍内閣が移民国家への転換を決定すれば、移民大国の誕生を待ち望んでいた世界の投資家は日本買いに走る。それが起爆剤となって、株価の暴騰、不動産価格の上昇、移民市場の成立など、日本経済の発展を支える新エネルギーが生まれる。こうした経済の好循環による経済効果は計り知れないものがあると考える。それだけではない。移民国家日本は、世界同時不況の悪循環にはいりこんだ世界経済のけん引役を担うことになろう。〉

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