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移民国家日本は世界のモデル国をめざす

 国家公務員を辞した2005五年に発表した『入管戦記』(講談社)の第10章(「小さな日本」と「大きな日本」)において「日本が世界のモデル国となる」と題し、次のように述べた。

「人口減少問題はヨーロッパの一部の国ですでに経験しているところであるが、日本ほど事態が急激に進み、問題の深刻な国は世界に例を見ない。この問題を考えるに当たっては、モデルとなるような国は存在しないといわなければならない。したがって、日本が世界の先頭を切って、人口減少時代の国のあるべき姿を検討し、その未来像を示さなければならない。日本国の決める人口減少社会への対応策が、未来の世界によい先例を開くものであってほしいと願うものである」

 いま改めてこのくだりを読み返してみて、これは役人生活を終えて新しい人生を歩むのに際しての決意表明の文章だと思った。私は問題提起を行なった責任をとり、2005年8月、世界のモデル国となる移民国家の創造を目標に掲げて外国人政策研究所(現在の移民政策研究所の前身)を設立した。そこを根城に日本の外国人政策を根本的に見直す作業を進めた。2020年2月の『Japan as an Immigration Nation』の刊行をもって世界のモデル国を支える移民国家理論が完成した。