移民国家日本は「人道移民大国」をめざす

坂中提案

日本は難民の受け入れ数が極端に少ない「難民鎖国」の国と国際社会から批判されてきたが、人口増加時代の日本は定住目的の外国人をほとんど受け入れない「移民鎖国」の国であったことが背景にある。世界の「難民大国」はすべて「移民大国」の国である。

しかし、人口減少時代に入った日本は、未曽有の数の移民を受け入れざるを得ない。その場合、一定数の難民の受け入れを移民枠の一つに位置づけるべきだと考える。移民政策の一環として難民を政策的に受け入れるのである。

私は、人口崩壊の危機を乗り切るため、向こう50年間で移民1000万人の受け入れを主張しているが、そのうちの50万人は人道移民(難民等)の枠とすべきだと提案している。

かつて受け入れた約1万1000人のインドシナ定住難民や約2500人の中国残留孤児帰国者に対し、政府の日本語教育や就職などの定住支援は不十分だった。

2012年1月30日、在日朝鮮人と結婚して北朝鮮に渡った日本人妻と、日本への引き揚げがかなわず北朝鮮残留を余儀なくされた日本人の早期帰国に向けた取り組みを強化するため、移民政策研究所内に「日本人妻等定住支援センター」を立ち上げた。

支援の対象者は次のとおりである。
①日本人妻(日本国籍を有しない血統的日本人妻を含む)
②北朝鮮残留日本人(北朝鮮残留孤児を含む)

2005年から日本人妻ら北朝鮮帰国者の定住支援にかかわり、北朝鮮事情に精通し、朝鮮語を話せる当研究所の職員が、帰国をはたした日本人妻・北朝鮮残留日本人の生活相談、カウンセリング、日本語教育、家族との再会に向けた支援などを行う。

2012年11月15、16の両日、モンゴルのウランバートルで開催された日本と北朝鮮の外務省局長級協議において日本側は「日本人妻の帰国」と「日本人残留孤児」などの問題を提起し、北朝鮮側は協力すると応じたと伝えられる。

これは戦後の日朝関係史における画期的な出来事である。この3年余、北朝鮮で生きている日本人妻、北朝鮮残留日本人の一刻も早い救出を日本政府に迫ってきた私にとって感慨深いものがある。

日本国民には、日本人妻と北朝鮮残留日本人の帰国問題を人道問題と正しく認識し、祖国に帰ってきた人々を同胞として迎える覚悟が求められる。

過酷な国で日本に帰る日を夢見て懸命に生きてきた日本人を人道移民として温かく迎え入れれば、日本人の道義心は世界の人々に感銘を与えるにちがいない。そしてそういう心で人道上の配慮を要する人々と向き合えば、近い将来、「人道移民大国」としての日本の地位は揺るぎないものになるだろう。

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