移民国家ニッポンは人道移民大国の旗を掲げる

坂中提案

 日本は難民の受け入れ数が極端に少ない「難民鎖国」の国と国際社会から批判されてきたが、人口増加時代の日本は定住目的の外国人をほとんど受け入れない「移民鎖国」の国であったことが背景にある。世界の「難民大国」はすべて「移民大国」の国である。

 しかし、人口減少時代に入った日本は、未曽有の数の移民を受け入れざるを得ない。その場合、一定数の難民の受け入れを移民枠の一つに位置づけるべきだと考える。来るべき移民国家日本は「人道移民大国」の旗を掲げ、移民政策の一環として難民を政策的に受け入れるのである。

 私は、人口崩壊の危機を乗り切るため、向こう50年間で移民1000万人を受け入れるべきと主張しているが、そのうちの50万人は人道移民(難民等)の枠とすべきと提案している。そうしないと日本の移民政策は国際社会の理解が得られない。

 かつて受け入れた約1万1000人のインドシナ定住難民や約2500人の中国残留孤児帰国者に対し、政府の日本語教育や就職などの定住支援は不十分だった。

 2012年1月、在日朝鮮人と結婚して北朝鮮に渡った日本人妻と、日本への引き揚げがかなわず北朝鮮残留を余儀なくされた日本人の早期帰国に向けた取り組みを日朝両国政府に促すため、移民政策研究所内に「日本人妻等定住支援センター」を立ち上げた。

 支援の対象者は次のとおりである。
 ①日本人妻およびその子
 ②北朝鮮残留日本人(北朝鮮残留孤児を含む)

 本年5月の日本と北朝鮮の政府間合意に基づき、「日本人配偶者」と「北朝鮮残留日本人」の帰国の道が開かれた。

 これは戦後の日朝外交史における画期的な出来事である。歴代の内閣が手をつけようとしなかった日朝間の多年の懸案を解決に導いた安倍晋三内閣の歴史的成果と言える。

 この5年間、北朝鮮にいる日本人妻、残留日本人の一刻も早い救出を日本政府に迫った私にとって感慨深いものがある。
 
 日本国民には、日本人妻と北朝鮮残留日本人の帰国問題を人道問題と正しく認識し、祖国に帰ってくる人たちを同胞として迎える覚悟が求められる。

 過酷な国で日本に帰る日を夢見て懸命に生きてきた日本人を人道移民として暖かく迎えれば、日本人の道義心は世界の人びとに感銘を与えるにちがいない。日本人が広い心で人道上の配慮を要する人たちと向き合えば、人道移民大国としての日本の地位は揺るぎないものになろう。

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