移民が最も住みやすい社会――ニッポン

坂中提案

多民族社会において各民族間の平和共存関係を確立する最も有効な方法のひとつとして、異なる民族間で婚姻関係を積み重ねること、そして血縁関係を深めることを、私はかねてから提案している。

ヨーロッパの主要国においては、根深い人種的偏見と宗教差別があって、国民と移民との婚姻関係はあまり進んでいないようだ。

ドイツは戦後、数百万人のトルコ人を外国人労働者として受け入れたが、ドイツ人のトルコ人との結婚の比率は1%以下と異常に低い。イギリス人の国際結婚の比率もドイツ人と同じ低水準である。

フランス人のアフリカ系フランス人との婚姻率は20%を超えると聞いている。フランス人の民族差別はひどくないので、フランスは多民族共生社会への展望が開ける国である。しかし、キリスト教とイスラム教の宗教対立の克服という難問が残っている。

16世紀のスペインとポルトガルのキリスト教徒たちは、両国が植民地支配した南米大陸で原住民の大量虐殺を行った。それだけではない。スペイン人、ポルトガル人と原住民の女性との間に生まれた子孫が国民の多数派を占めるという、今日の南米諸国の国民の民族的構成を形作ることになった。

近世から20世紀半ばに至るまで、ヨーロッパ人が、宗教、人種、風俗等の異なる民族を、時には人間以下のものとして、少なくとも自分たちよりも劣等の民族として扱ってきたことは、世界人権史上の汚点として残っている。

ひるがえって現代の日本人の外国人観を見ると、大量の異民族の流入も外敵の侵入も受けなかった歴史も幸いして、他の民族を「人間以下のもの」とみなす観念はない。外国人に対する恐怖心や排外的感情も諸外国の人々と比べて希薄である。

異民族との結婚についても、在日韓国・朝鮮人の結婚相手の90%以上が日本人であることに象徴されるように、人種・民族・宗教・国籍の違う人と結ばれる日本人の比率が高い。

近年、喜ばしい出来事があった。日本人と黒人の間に生まれた日本人女性がミスユニバース日本代表に選ばれたのだ。ここ数年そういう女性が二人も現れている。日本人の美人観が、人種の違う父母から生まれた混血児を美しいと思うインターナショナルなものに変化したことに驚きを禁じ得ない。

最近、私の親しい日本人の中にも、人種の異なる人と結婚する人が目立つ。人種の違う人に魅力を感じる若い世代に移民国家ニッポンの明日を託す。

人種的・宗教的偏見が少ない日本人は移民が最も住みやすい社会を作る可能性がある、と私は想像をたくましくする。

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