1. TOP
  2. 政策提言
  3. 移民が人口減少期の日本を救う

移民が人口減少期の日本を救う

日本ではヘイトスピーチに典型的に見られる排外主義的な動きも顕在化している。移民に対する偏見や差別を払拭していくためにはどうしたらよいのだろうか。

大量移民時代には、小中学校に通う移民の子どもが飛躍的に増えることになる。それにともない、幼児教育および初等中等教育のあり方を根本から見直す必要がある。移民開国を期して、現在の「同じタイプの日本人」を育てる画一化教育はやめるべきだ。子どもの個性と多様性を重んじる教育に改めることは、移民社会の安定的な発展のためにも不可欠である。

現実に、今の子どもたちの教育環境を見ても、クラスメイトに外国人の友人がいるような状況は一般的になりつつある。移民の子と一緒に学び遊ぶ日本人の子は、異なる民族との付き合いで日本人という自意識を持つこともあるだろうし、心のふれあいを通して人類社会は多様な人々の集まりであることを肌で知るであろう。同時に、人種や宗教が異なっても同じ人間であるから、何が正しい生き方か、何が正義かなどの価値観では共通するところが多いことを学ぶであろう。やがて日本の児童・生徒は「民族の心」と「寛容の心」をあわせもつ日本人に成長するであろう。すなわち「地球市民」の誕生である。

日本の伝統文化の精髄を教える文化教育と多民族共生教育とは一体として行なわれるべきだ。文化的なアイデンティティを失った根無し草のようなコミュニティではなく、日本人の心と移民の心が通う共生社会をつくるには、「日本人の心」と「地球市民の心」を兼ね備えた市民の育成が肝要である。そうした心の広い日本人が多数派を形成する社会、それこそ私が考える理想の移民社会である。

学校だけでなく家庭でも、地球上には多様な人種・民族・宗教が存在すること、すべての人種・民族・宗教の間に甲乙も優劣もないこと、地球市民の心を持つ日本人は世界文明においてかけがえのない存在であることについて親と子でとことん語り合ってほしい。
ただでさえ均質性の高い民族であるのに、それに輪をかける画一化教育で育った政治家、官僚、経済人、知識人など日本のエリート層を観察すると、世渡り上手で出世競争に精を出す日本人、大勢順応型の日本人が多くなったと感じる。

「移民開国」をきっかけに、世界各地からその道の第一人者が集まる社会、異なる文化を貪欲に取り入れる社会、異色の人材が躍動する社会、多様な民族文化が栄える社会、多言語を駆使する人材が続出する社会に生まれ変わる必要がある。学問・芸術はもとより芸能、スポーツ、料理、教育、都市の魅力、外国人観光客の誘致、組織運営・企業経営の刷新、政治・行政の革新などあらゆる面で、国民を構成する民族の多様性はプラスに働くと考えている。

これからの日本は若年人口の激減と高齢人口の激増が重なる人口秩序の崩壊が避けられない以上、たとえば現場を担う若手職員の確保が困難になった自衛隊、警察、消防、入管を筆頭に、国家の基本制度の存続も危うくなるのは必定である。今後の人口激減が政治・経済・財政・社会・国民生活・防災体制などに及ぼす影響は想像を絶する。移民政策は不可避だが、日本の延命策としてはこれだけで十分とは言えない。明治以降続いてきた人口増時代に形成された人生観・生活様式から政治制度・産業制度・地方制度・教育制度などの各制度を根本的に見直す必要がある。これは日本の歴史はじまって以来の日本革命に発展する。

多様な移民を迎え入れた日本社会は、面白い、活力に富む、強靭な社会になっていくに違いない。人口減と閉塞感に直面する日本の若い世代に、多様性に富む移民社会は生きる夢と希望を与えると思う。