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目標と責任から解放されたい

この数年は遺言のつもりで論文を書いている。毎年、最新の知見を盛り込んだ著作をあらわしている。遺書の決定版が、最新作の『新版日本の移民国家ビジョン』(移民政策研究所、2018年)である。この本を公にして移民国家の将来は心配ないと思った。いくら心配性の私でも、これらの著作の全体を移民国家の針路を決める際の羅針盤として活用してもらえば、日本の将来は明るいとの思いがこみあげてくる。

これから私は日本の明日を慈愛のまなざしで見ることにする。移民国家の生誕と成長を楽観的に展望する。移民政策研究所のウエブサイトの「政策提言」において内外の青少年に生きる希望を与える話をする。お先真っ暗の時代には展望の開ける未来社会を語る楽天家が必要である。

44年間、自分の立てた政策目標を実現するためひとりで苦悩する日々を送ってきた。その結果、坂中英徳はどんな人間になったのか。

移民政策一辺倒の人生しか知らない専門バカの人間。人の意見に耳を傾けない人間。移民政策以外の世界を知らない人間。そんな井の中の蛙のような人間になった。さらに言えば、広い教養と寛容の心に欠ける人間。良好な人間関係を築くことのできない人間。人を見る目も組織を運営する能力もない人間。やることなすことのすべてが批判と罵倒の対象となる不徳の塊の人間。このあたりで自己批判をやめる。いくら反省の言葉を並べてみても、この年になると自分の生き方を変えるのは難しい。

移民国家ニッポンのすばらしい未来を切り開くのは、地球市民としての教養とセンスがある若い世代だ。頑迷固陋の老人は早く引退するのが国益にかなう。

欲を言わせてもらえば、一生の最期のいっときは、目標からも責任からも解放されたフリーの身になって自分の知らない世界をのぞいてみたい。