現在の日本は「衰退する社会」か「活力ある社会」かの瀬戸際にある

坂中提案

2004年1月の『中央公論』(2月号)に発表した「外国人政策は百年の計であるー目指すべきは『小さな日本』か『大きな日本』か」と題した論文は、私の移民政策論の原点である。当時、人口減少時代が間近に迫っていたので、人口問題の解決策としての移民政策を提起した。

両極に位置する理念型として、人口の自然減に全面的にしたがって縮小してゆく「小さな日本」と、日本人人口が減少した分を移民人口で補って経済大国の地位を維持する「大きな日本」のふたつのシナリオを示したうえで、それぞれに対応する移民政策を論じた。

「小さな日本」の場合の移民政策は、人口の国際移動が日本の総人口に影響を及ぼさないようにすること、すなわち日本への人口移入を厳しく制限するものである。「大きな日本」の場合は、50年間で3000万人近い数の移民を入れるものである。

論文の主眼は、人口減少時代の日本の針路と移民政策の理論モデルを提示し、国民的議論を喚起することにあった。しかし、国民の反応は全くなかった。

中央公論に論文を発表した時から11年がたった。この間、私の基本的な考えは全く変わっていないが、日本の人口秩序崩壊の危機は一段と深まった。現在の日本は、「衰退する国」に向かうか、「活力ある国」に向かうかの瀬戸際にある。人口危機の日本を救う移民政策の導入を躊躇している時間はもはやない。

念願の移民国家大論争が始まった。その結果を踏まえ、速やかに内閣総理大臣が歴史的決断を下すことを願ってやまない。

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