燃え上がる民族感情を平和の心で鎮める稀有の民族

坂中提案

民族や文化の異なる人と人との平和共存の前途は険しい。人類史の書をひもとけば、異なる民族間の戦争の歴史であったことは歴然としている。文明が進んだ二十一世紀の世界でも、人類の本性ともいうべき民族と宗教の問題に起因する戦争・内乱・テロが頻発している。また、動物社会に見られる縄張り争いと、子孫を残すための生存闘争も、人類の本能として根強く残っている。

しかし、その一方で、平和を希求する心が人類のDNAにインプットされているのも事実である。世界の人々の理性と平和を願う心がひとつになり、世界平和体制をつくる夢が二十二世紀中に実現することを願ってやまない。民族や宗教のちがいが主たる原因で同じ種の間の殺し合いがエスカレートし、人類の全滅を招くようなことは絶対あってはならないとひたすら祈念するものである。

地球上で戦争が絶えない根本原因は、動物の中で人類のみが持っている民族精神と宗教心が厳然として存在すること、ひとつの種から枝分かれした諸民族が文化と宗教の優劣を競って戦争を繰り返すことにある。民族と宗教の奥底にある絶対主義的優越感と排他的性格を正さないかぎり、世界の恒久平和の夢は永久に実現しない。以上のように人類史を理解し、民族学的思考と世界平和思想に基づき、わたしは次のような仮説を立てた。

〈異なる民族と宗教に対する精神的な許容量が大きい日本人は、人類社会がかかえる民族対立と宗教対立の問題を超越する存在であって、永遠の世界平和の実現に貢献する可能性の高い民族ではないか。地球上に存在するあらゆる物に神がやどると考える日本人は、すべての民族・宗教と公平につきあう稀有の民族であり、世界各地で燃え上がる民族感情と宗教感情を平和の心でしずめ、民族問題と宗教問題を平和的に解決する能力をそなえているのではないか。

 八百万の神々を受け入れ、地球上に存在するすべての人種・民族はみな平等であると考える日本人こそが、人類の悲願である地球共同体を創造できるのではないか。〉

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