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比較文明論からみた日本の移民政策

17億のイスラム教徒を擁するイスラム文明との敵対関係が激化する一方のヨーロッパ文明の明日はないと予感する。では異なる宗教と寛容の精神で向き合う日本文明は西洋文明にとってかわる存在になれるのだろうか。あらゆる神々を寛容の心で受け入れる日本文明は、現代の世界が直面する最大の危機と言うべきヨーロッパ文明とイスラム文明の対立・抗争に待ったをかけることができるのだろうか。

私は現代世界を比較文明論的立場から俯瞰し、普遍性にかげりが見られる西洋文明の終焉の日が近づき、これから世界は地殻変動の時代に入ると認識する。今後、世界の思想界において、世界の叡智を結集し、新しい世界精神と世界秩序を模索する動きが出てくるだろう。その場合、西洋とは異質の精神文化と世界観を持つ日本文明が新世界文明の創造において重責を担う必要があると私は考えている。

いま現在、西欧社会において人種差別・宗教差別・移民排斥の考えが広がりを見せている。米国のトランプ大統領を先頭に排外主義者たちが声高々に「移民はノー」と叫ぶ異様な光景が見られる。人種間・宗教間の対立が先鋭化し、歴史の歯車が狂ったとしかいいようがない。これが引き金となって核兵器を使用した第三次世界大戦が勃発するおそれすらあると危機感がつのるばかりだ。

ヒトラーによるユダヤ人大量虐殺に代表される第二次世界大戦前夜の時代のように、エスノセントリズムのイデオロギー(自分たちの人種と宗教が一番すぐれているという考え)が世界を席巻する時代に世界史を逆戻りさせてはならぬと、私は世界の政治指導者に言葉を尽くして訴える。

移民鎖国を続けている日本にとってもこれは決して他人事ではない。人類共同体思想の発祥の地である日本こそ、移民政策で応分の責任を果たす必要があると、国民と政府にお願いする。欧米社会で移民・難民問題が危機状況に突入した今のタイミングで、「日本国民は人類共同体の理念の下に50年間で1000万人の移民を迎える」と世界の人々に約束する時がきた、と私は内閣総理大臣に決断を迫る。
 
日本が移民鎖国のよろいかぶとを脱ぎ捨て移民大国へ鮮やかに変身し、人道危機に見舞われている移民・難民を温かく迎えれば、日本は移民・難民の窮状を救う「世界の救世主」と称えられる。移民と難民に開かれた人道大国の日本イメージが瞬く間に世界に広がる。21世紀初頭の日本人の勇気ある行動が世界の一大危機を救ったと世界史に刻まれる。

日本の移民政策のパイオニアが提唱する人類共同体構想に米国の有力紙が関心を示した。2016年11月、米国の建国精神をくつがえすトランプ次期大統領の移民政策に強い危機感を持つ『ワシントン・ポスト』と『ニューヨークタイムズ』の取材を受けた。両紙の記者は、人類共同体思想が根本にある日本型移民政策の持つ世界的意義を直ちに理解した。そのとき私は、日本の移民政策が世界の移民政策をリードする責任があると改めて思い知った。

先進国の中で唯一移民鎖国を続ける国の住人である坂中英徳がなぜそのような尊大な考えを持つようになったのか。100年後の世界の姿を思い浮かべると、人類平等精神が心の根底にある日本人なら人類同胞意識を持つ地球市民に大化けし、今世紀末までに人類共同体社会を創る可能性がある。いっぽう、宗教と人種における優越的感情が本性としてある西洋人が人類共同体社会を創るのは至難の業である。そのためには、西洋人の心に染みこんでいる排他的な民族性を拭い去る必要がある。以上のように私は両者の違いを認識している。

アメリカのオピニオン紙の記者と今後の世界の移民政策のあり方について突っ込んだ議論をして、人類共同体思想という概念を内包している日本型移民政策が世界の移民政策のモデルになるのも決して夢ではないという思いが強まった。