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欧米社会でいま何が起きているのか

私がいま一番やりたいと思っていることは反移民の嵐が吹き荒れる世界の窮状を打開することだ。世界の識者から「ミスターイミグレーション」の名で呼ばれる日本人が、世界各地で燃え上がる人道危機に立ち向かうことだ。

反移民政策を掲げるアメリカのトランプ政権はもとより、イギリスは移民の問題でEUから離脱。フランスはパリが2回のテロ攻撃を受けて伝統的な自由・平等・博愛の精神が影を潜め、イスラム恐怖症というか、人種差別に近いような動きが顕在化。ドイツのメルケル首相は立派な政治家であるが、反移民の右翼政党が勢力を増し、退陣を余儀なくされた。メルケル後のドイツはどこに向かうのだろうか。最近はオーストラリア、ニュージーランド、イタリアなどの国でも白人至上主義者や反イスラム主義者の台頭が目立つ。

世界の移民政策を牽引してきたEUも、これまでは移民・難民を温かく受け入れるドイツ、フランスなどのリベラル派が主導権を握っていたが、ここにきて反移民・反難民を唱える右派が一定の支持を集め、両者の力関係がほぼ均衡している状況にある。

本年3月、ニュージーランドで痛ましい事件が起きた。オーストラリア人が51人のイスラム教徒を銃殺した。その犯行声明で白人社会に白人以外の人間が入ってくるのはけしからん、だから殺したと言っている。その男はイスラム教徒を狙い撃ちで殺害しているので反イスラムのイデオロギーの持ち主でもある。人種差別主義者でかつ宗教差別主義者だ。

もとをたどればオーストラリアは白豪主義の国であったが、世界の主要な移民国家のうち、カナダを除けば、すべての国が移民問題でおかしな方向に向かっている。このまま行ったら世界はどうなるのか、非常に心配である。

アメリカは独立宣言でアメリカを希望して移住してくる人は全部ウェルカムの精神で迎えると言っていた。それを国是としてきた。アメリカは「人種のるつぼ」と言っていた。しかし、21世紀の今も白人至上主義者と黒人至上主義者が殺し合いの闘争を繰り広げている。アメリカ社会の黒人差別の根深さに驚きを禁じ得ない。

私は、第二次世界大戦後の人類は人種の問題を克服したと理解していた。しかし、そのような考えは間違いであって、いま現在こそ「人種」の問題が噴出する時代である、そのように時代を深く認識すべきだと考えている。

世界全体を見渡すと、人種や移民政策を理由とするヘイトクライムが続出するきわめて危険な状況にある。雰囲気としてはヒットラーがヨーロッパを席巻した第二次世界大戦前夜の時代とかなり似ていると思う。欧米社会において自分たちが属する人種・民族・宗教が絶対的で正しいと考える人々がわが物顔で闊歩している。