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未来を創る舞台で美しく舞ってみせる

 私は梅棹忠夫先生にお目にかかったことはないが、20代のころから梅棹先生を師と仰いでいる。その膨大な梅棹忠夫著作集のうち、わけても『比較文明学研究』『民族学の世界』『地球時代に生きる』から影響を受けた。これらの著作を繰り返し読み、西洋人のものまねではない、日本人にしか書けない政策論文を書くことの重要性を学んだ。新しい論文の執筆に際しては、同著作集の中の好きな論文を座右に置いて筆を執ることを常としている。移民政策が世界的課題に発展したまさに今、地球市民の道を歩まれた先生の学恩に報いるため立ち上がる時だと心中期するところがある。

 これは梅棹先生が最後の著書で述べられた箴言である。「人には逃げてはならない状況がある。そのとき、ちゃんと舞ってみせることが必要だ。責任を果たす覚悟と能力がいる」(『梅棹忠夫 語る』(日経プレミアシリーズ、2010年))。

 世界のどの民族も成し遂げたことがない移民国家を打ち立てるという冒険に乗り出した私は、先生の日本人への遺言を片時も忘れることなく理想の移民社会像を追い求めてきた。  
 「未知なるものへのあこがれ」の夢をいだいて一途の道を歩まれた民族学の泰斗は、「日本型移民国家」と「人類共同体世界」の創造を天国で心待ちにしておられるにちがいない。

 正直、日本の未来を決める責任から逃げたい気持ちに傾く時もあるが、梅棹先生が御存命であられたなら「あきらめたらあかん。責任を果たせ」と一喝されるだろう。

 移民国家を立国する責任者の立場にある私は、梅棹先生の地球市民の発想を受け継ぎ、日本の未来をつくる舞台で主役を演じ、美しく舞ってみせる必要があると肝に銘ずる。

 大風呂敷を世界の移民政策のあり方にまで広げたのでどこまで実現できるかわからないが、寿命が尽きる日まで移民革命の先駆者としての責任をはたす。移民鎖国体制をくつがえすこと、日本型移民国家制度を整備すること、人類共同体哲学で世界の人道危機を救うことなどの実績を上げないと、あの世で梅棹忠夫先生に合わせる顔がない。