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最新作『日本型移民政策論集成』

このたび『日本型移民政策論集成』という表題の本を発行する。日本の移民国家への歩みの歴史と、日本型移民国家ビジョンの世界展開について綴ったものである。44年間、坂中英徳が心血を注いだ移民政策研究の集大成の本である。
 なお、世界の識者からよく聞かれる質問、たとえば「坂中英徳は何者か」「人類共同体思想の真髄は」などに正面から答える文章が多く含まれている。
 2019年9月現在の移民・難民をめぐる世界情勢を概観すると、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドなどの諸国で異なる人種と宗教に対する排他的な考えの持ち主が繁殖中である。世界は人類存亡の危機の時代に入った。これは第二次世界大戦後の国際法秩序が崩壊に向かう兆候ではないのかと危機感がこうじる。反移民主義者や人種差別主義者がわが物顔で闊歩する世界にしてはならぬと世界の知性に訴え続ける。
 しかしながら、移民鎖国のイデオロギーを墨守している日本の国のあり方こそ、日本社会のみならず国際社会にとってもよほど大きな問題であると言わなければならない。移民の受け入れのあり方に関して先進国がもがき苦しむ中でひとり日本が移民鎖国の温室のなかでぬくぬく生きる時代は終わった。
 国内に目を向けると、もはや一刻の猶予も許されないほど事態が切迫している。人口危機が深まる一方の日本丸は沈没寸前の危険水域に突入した。最近の私は「ここまで人口危機が深まると何もかも遅きに失した」との思いがつのる一方だ。
 仮に日本が50年間で1000万人の移民を入れても3000万の人口が確実に減る。人がいなくなった地方自治体の消滅や、人材獲得が困難になった中小・零細企業の倒産が相次ぐ。トヨタ自動車などの世界企業も専門職や技術職を十分確保できなくなり、国際競争力が低下する。自衛隊・警察・消防も要員の獲得が難しくなって国の安全保障体制の一角が危機に瀕する。
 私たちは日本を存続させるために何をなすべきか。何ができるか。私の答えは明快だ。移民の扉を開くことだ。世界の人材を日本社会の中に取り込むことだ。国民が心を一つにして世界の鏡となる移民社会をつくることだ。
政治家は移民の助けを求める国民の声に耳を傾けるべきだ。政府は移民開国を決断すべきだ。国民は「社会の一員として移民を温かく迎える日本」をつくる覚悟を決めるべきだ。
「日本は50年間で1000万人の移民(難民を含む)を受け入れる」と世界の人々に約束する時がきた。移民・難民に冷たい風が吹きすさぶ中、国際社会は「人種や宗教の違い乗り越えて人類が一つになる移民国家の理念」を掲げて立ち上がる人道移民大国の出現に歓呼の声をあげるだろう。
 地球規模での移民受難時代の到来は私の身に変化をもたらした。日本の移民国家ビジョンは「人類史的・世界的意義がある」と、世界の識者から異例の評価を受けた。まだ一握りの大学教授やジャーナリストの評価にすぎないが、近い将来坂中理論は既存の移民国家に深刻な影響が及ぶと直感する。世界の識者の間に「ミスターイミグレーション」の名が通っている私は、日本のみならず世界の移民政策を牽引する責任があると気持ちを引き締めている。
 日本が起源の人類共同体社会の全体像を描いて移民国家創成論に魂が入った。たとえ当世に志を得なくとも、世界革命が成らずして天命が尽きても、世界に雄飛する人類共同体社会を創造する壮図を抱いて筆をとったこの本を刊行して後顧の憂いがなくなった。日本と世界の移民政策のあり方を考えるときの基本文献として活用されることを希望する。
 日本の移民政策の専門家が提唱する人類共同体の理念が世界の人道危機を救う光明としてきらめく時代を待望する。人類共同体思想に関する議論が国の内外で繰り広げられることを切に望む。

                                        2019年11月    坂中英徳移民政策研究所所長