明治の開国から150年間移民鎖国を続ける国

坂中提案

移民排斥を唱える米国のトランプ政権をはじめ、世界では移民が最も主要な政治のテーマになっている。しかし日本では何の議論も行われていない。世界で最も移民の助けを必要とする国で移民政策が政治課題にのぼらないのは全くもって理解に苦しむ。当代の政治家は移民国家の建国のような国家の運命に関わる問題には口を拭うにかぎると思っているのだろうか?移民国家の建設は政治家のリーダーシップで行う国家的事業であることを深く自省しない政治家に国政を担う資格はないと言わなければならない。

鎖国か、開国か、幕末に国を二分するほどの議論を経験した日本は、明治の開国から150年が経った2018年の今も「移民鎖国」を金科玉条のごとく守っている。「移民政策はとらない」という時代錯誤の政府方針を早急に改めないと、国家制度が崩壊の危機に瀕するのみならず、「日本は移民に冷たい国」と世界中から非難が殺到するのは時間の問題であるとあえて苦言を呈する。

私は、50年間で移民を1000万人にする「日本型移民政策」を提唱している。友好国と移民に関する協定を結び、計画的に秩序正しく受け入れるというものだ。同時に、移民法を制定し、所管する移民政策庁を創設し、国民のコンセンサスの下で移民を迎え入れる態勢を整える。

移民には税金も社会保険料も払ってもらう。外国人労働者ではなく「永住者」「生活者」「消費者」として受け入れれば、移民市場が形成され、財政や社会保障制度も持ち直し、少なくとも移民人口分に見合う経済成長が見込める。移民同士や移民と日本人の結婚も増え、二世が生まれると少子化の歯止めにもなる。移民政策は人口減少時代の最強の経済政策であるとともに、最有力の少子化対策でもある。

現在、働く留学生は21万人にのぼるが、勉強しながら働く「出稼ぎ留学生」の入国を認めてはいけない。週28時間までの就労を可能にしているから、様々なひずみや問題が生まれているのだ。不法滞在者による犯罪の発生、難民の可能性がゼロの人からの難民申請の殺到、ビジネスを目的とする悪質な日本語学校の乱立を生む元凶になっている。法務省は留学生のアルバイトを制限し、純粋に勉学目的の本来の「留学」の在留資格に戻すべきだ。文部科学省は大学などが日本語や専門技術をしっかり教え込むように指導すべきだ。

これからは人手不足を補う労働力としてではなく、社会の一員として日本に貢献してもらうため永住者の地位で受け入れるべきだ。たとえば、「宅急便」、「コンビニ」、「とび職」といった人材不足が顕著な分野で外国人に活躍してもらうための在留資格を新設する。将来の移民として国民として外国人を受け入れるのだ。言うまでもなく非正規雇用は論外で、日本人との同一労働・同一賃金が原則である。

移民立国に向け、鍵を握るのが若い世代だ。各種世論調査において20代の5割強が移民受け入れに賛成と答えているのは心強い限りである。日本の若者のほうが世界の若者と比べて移民を受け入れる心が豊かだ。政府が移民開国を決定すれば、欧米の若者と比べて人種・民族・宗教に対する偏見が非常に少ない日本の若者なら、日本人と移民が切磋琢磨し、互いが地球市民に成長する素晴らしい移民国家を建設してくれるだろう。

 

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