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日本革命が必要

私は2007年以来、日本の歴史に類を見ない規模の移民受け入れを提言している。だが、50年間で1000万人の移民を入れても、日本の総人口が3000万人も減るというまぎれもない事実を正視してほしい。3000万人の人口減が政治・経済・財政・社会・国民生活・教育制度・安全保障体制・防災体制・入管体制などに及ぼす影響は空前絶後のものになる。

日本が世界有数の移民大国になっても、若年人口の激減と高齢人口の激増が重なる人口秩序の崩壊が避けられない以上、たとえば必要な人員の確保が困難になった自衛隊、警察、消防、入管を筆頭に国家の基本制度の存続が危うくなるのは火を見るよりも明らかだ。3000万人の人口減に持ちこたえる強靭な国をつくるには、移民革命に続いて社会革命と日本革命を同時に行うことが必要不可欠だ。

換言すれば、三位一体の革命を成し遂げてはじめて日本国の存立の見通しがたつということである。重ねて言えば、この三つの革命を国民の総意で断行すれば、年少人口の激減で瀕死状態にある地域社会が奇跡的によみがえる可能性が出てくるということである。たとえ1000年に一度の天変地異に見舞われても犠牲者を最小限に抑える目途がたつということである。

当代に生きる私たちは、明治から平成まで続いた人口増加時代に形成された人生観・生活様式から政治制度・産業制度・地方制度・教育制度・刑事司法制度・運輸交通制度などの各制度を全面的に見直し、人口規模に見合った国に転換しなければならない。私の言う「小さな日本」への転換である。これは日本の歴史はじまって以来の大革命に発展する。
日本大革命は日本の存亡がかかる歴史的大事業である。その困難さのレベルはもちろん移民1000万人の受け入れの比ではない。民族と国籍、そして世代と官民の垣根を越えてオールジャパンの力の限りを尽くさなければ、日本という国の起死回生の願いはかなわない。

以上に述べたことは、移民革命で獅子奮迅の活躍をした坂中英徳が、後世の国民に日本の存続を託す遺書と受け取っていただいて結構である。以下の文章は、次世代の国民が日本国を立て直す際の一助になればと思ってつづるものである。

その前に、当代の日本人のあり方こそ問題であると強調しておかなければならない。私の目には惰眠をむさぼっているとしか見えない。国民の間に人口増社会の惰性を断ち切る動きはまったく見られない。人口ピラミッドの全面崩壊に対する日本人の危機意識の欠如にも程があると言わなければならない。

一例を挙げる。人口増加時代につくられた国と地方の基本制度について人口減少社会に対応するものへの改革の必要性を指摘する声はどこからも上がらないのだ。地方の町や村ではコミュニティが崩壊寸前ところが目立つが、関係者の間で問題点を洗い出す作業すら行われていない。すでに本格的な人口減少期に入ったというのに古い日本の体質と風習と制度が温存されている。それどころか、党利党略のことしか頭にない政治の世界では、参議院議員の定数を増やすという暴挙に出るなど人口減社会に逆行するような動きすらまかり通っている。

既得権でがんじがらめの肥満体質の日本から、既得権のすべてをご破算にしたスリムな日本に生まれ変わること――つまり国民と政府が根本的な制度改革を行うこと、それが持続可能な国をつくる唯一の道であると私は警鐘を打ち鳴らしている。国家公務員をリタイアした2005年から移民革命を視界にとらえた今日まで私は、人口減少時代の日本が移民革命に加えて日本革命を行うことの必要性・緊急性を言い続けている。

しかし、平成のラストサムライが力を込めて書いた日本革命論は知識人・政治家・国民のすべてから無視されている。日本の運命を左右するこの政策提言が国民の口の端にのぼることはない。日本革命論は移民革命論に輪をかけて国民の評判が悪いようだ。日本国の浮沈がかかるこの重大問題について広く国民に関心を持ってもらうためには、検討を加える対象を日本人の生き方にまで拡大し、より説得力のある論を展開する必要があるのだろう。

13年前に書いた『入管戦記』という本の中で私は、「人口減少時代の到来を契機として、日本人の生き方、日本国の民族的構成、社会経済制度などを根本から見直し、『新しい日本』に生まれ変わらなければならない」と世紀の問題提起を行った。しかし、その時からこの問題は一歩も前に進んでいない。まったくもって私の力不足のせいである。「日本国の民族的構成」つまり移民問題をもっと早くかたづけ、生活革命、産業革命など日本革命の問題に速やかに着手すべきであったと悔やまれる。

問題の所在について一部の専門家は気づいていると思うが、あまりに事が重大すぎてどこから手をつけたらよいのか見当がつかないのかもしれない。あるいは、日本のインテリは移民問題のときの対応と同じ態度、すなわち人口崩壊がもたらす日本崩壊の恐ろしさを見て見ぬふりをしているのかもしれない。また、政府首脳、政府高官などの政府当局者もこの重大問題に言及することはない。いつもの例で「触らぬ神に祟りなし」を決め込んでいるのだろう。

たとえば、霞が関の官僚たちが国家制度の存続に危機感を持って取り組む姿勢は見られない。それはわかりきった話だ。自分たちの縄張りを守ることしか頭にない官僚機構が自らの血を流す行政改革を行うはずがない。国の統治機構の根幹にかかわる問題であるから政治家の覚醒を待つしかない。

しかし、移民革命にすら消極的な姿勢の政治家が、人口減少社会に対応するための政治革命、たとえば、①国会議員の定数を今の三分の二にまで減らし、有権者の数に比例する国会議員制度に改めること、②二院制のあり方を根本的に見直すこと、③道州制の導入など中央集権体制を全面的に改めること等々、自らの身を削る政治制度改革に着手するとはとうてい考えられない。

既得権を手放す気がかけらもない政治家に国家制度・政治制度・地方制度の革命的な変革が期待できない以上、有権者である国民が社会革命と政治制度改革の実行を政治家に迫るしかない。それを行う場合には国民も、これまでの生き方を根本的に改めるほどの気概を持って生活革命を実行する必要がある。

具体的には、①超少子化社会・超長寿社会で平穏無事に暮らすため、贅沢と無駄を徹底的に省き、清貧の文明生活に改めること。②健康第一の生活を旨とし、元気な人は生涯働くこと。③税金などの負担増と社会福祉サービスの低下に耐えること。
以上のような生活革命は苦渋の選択を国民にお願いするものである。それは承知の上であるが、さらに国民のみなさんにぜひ言っておきたいことがある。

〈国民が日本の伝統的な生活様式――たとえばつつましく暮らす生活に新たな価値を見いだすこと。それとともに国民がひとしく中流意識を持つ平等社会をつくること。このふたつが、人口減少期の日本が永続するための絶対的条件である。〉

日本大革命に関し問題を提起するだけにとどめざるを得ないのは断腸の思いである。だが、人口減少期の日本の国家改造計画大綱の詳細を示すことは今の私の手に余る。移民国家を立国することで手いっぱいの私にできることは、移民革命との関連で問題の所在を明らかにし、問題解決の道筋を明らかにするところまでだ。だからといって私は、この国の将来のことについては心配していない。必ずや平成の革命家の志を受け継ぐ青雲の士が輩出するであろう。日本大革命に政治生命をかける政治指導者が現れるであろう。

近く、移民革命に日本の命運と自分たちの人生をかける若い人たちが続々登場するだろう。日本の将来に敏感な若者たちは、持続可能な新しい日本をつくるには、移民革命と日本革命を一体的に行うことの必要性を深刻に受け止めるにちがいない。移民革命をもって日本革命の嚆矢とし、社会革命と政治制度改革に立ち上がる若い世代に後事を託す。既得権から自由な若い人たち(将来の国民として新たに加わる1000万人の移民を含む)が、日本国を健康体に戻すための全面的かつ根本的な制度改革を行い、50年以内に日本大革命は立派に成功をおさめると予言しておく。

一言つけ加える。100年後の日本の将来人口について言えば、地球規模で深刻化する人口問題、気候変動問題、天変地異問題、環境問題、食糧問題、エネルギー問題などを総合的に勘案すると、1億の人口にこだわるよりも7000万人台の人口で落ち着く社会が望ましいと考えている。