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日本語と移民

日本語育制度の充実は待ったなしだ。経済連携協定による看護師、介護福祉士の受け入れで明らかになったように、移民受け入れの成功の鍵は外国人の日本語能力にかかっている。日本語をマスターした外国人は日本社会への適応も早い。たとえば、母音優位の日本語を生まれながら耳で聞いて育った移民二世は日本の子供と同様に虫の音を鑑賞できるようになるそうだ。

政府は、大量移民時代に備え、小学校・中学校が日本語のできない外国出身の子供をしっかり教育する体制を一刻も早く整えるべきだ。在日外国人の子供が日本の子供と一緒に勉強し、日本語の読み書きに熟達すれば、学校の授業も理解できる。進学の道も開ける。希望する職に就ける。日本人の友達もできる。出自は外国であるが身も心も日本人の新しいタイプの日本国民が誕生する。

それとともに日本語教育方法を根本的に見直す。たとえば、外国人が短時間で日本語会話能力を習得できる日本語教育法の研究開発や、パソコンを使った漢字学習法の技術開発、移民の母語に配慮した日本語教育法の研究など、大量移民時代を視野に入れた日本語教育法の改革を急いでほしい。

また、世界の若者が日本語に親しみを感じ、日本語を楽しく学んでマスターできる日本語教育法を確立してほしい。特に、非漢字圏の国々の外国人に対する日本語教育法に力を入れてほしい。

ちなみに、彼らは漢字を「美しい絵」として頭に焼き付けて覚えるそうだ。象形文字の漢字を覚える方法としては理にかなっている。字画の多い漢字も丸暗記して正確に書く。外国人に覚えてもらいたい漢字を、「外国人常用漢字一覧」(たとえば1000字)として、国が公示してはどうか。

日本文化に熱中する世界の若者は、漢字や古文を含む、日本語を完全にマスターしたいと希望している。日本語教育関係者は、日本文化と日本語の双方に関心を持つ外国人に対する日本語教育の充実に意を用いる必要がある。

日本語教育はボランティア任せではいけない。外国人に速く正確に日本語を教える専門性が求められる。それは日本語教育法を修得したプロの日本語教師の仕事だ。文部科学省に提案がある。日本語教育の水準を高め、日本語教師の社会的地位の向上をはかるため、日本語教員免許制度を創設してもらいたい。

また、国の責任で移民に対する日本語教育を実施するため、移民時代の日本語教育の理念、日本語教育の基本的なあり方、日本語教員養成制度、日本語学校設置基準を定めた「日本語教育法」を速やかに制定してほしい。

日本に永住する気持ちがある移民のみなさんに注文がある。子々孫々が日本の風俗習慣になじんで幸せに暮らすためにも、日本語の会話能力に加えて、漢字の読み書き能力も身につけてほしい。難しいといわれる漢字も、パソコンを使ってその姿かたちを絵として脳裏に刻めば楽しみながら覚えられる。1000字ぐらいなら簡単にマスターできる。勇気をもって漢字にチャレンジしてほしい。

いっぽう、移民時代を迎えると、移民二世に対する母国語教育に力を入れなければならない。移民一世が持っている文化や感性を移民二世に受け継いでもらうために、移民の第二世代に親の母語を教える体制を整える必要がある。すなわち少数言語教育体制の確立だ。

そのために、移民二世が母国語や母国の文化について学ぶ「少数言語研究所」を東京外国語大学と大阪大学に設置してほしい。この研究所は世界の少数言語および言語政策に関する研究を行うとともに、移民二世に対してそれぞれの母国語を教える。

1000万人の移民の受け入れが順調に運ぶと、日本人と移民の間の交流が盛んになり、数カ国語を話す国民が増えるだろう。特に若い人たちの間では、人種や文化の相違に魅力を感じる人が多数に及び、少数言語を学ぶ人や異なる民族と結婚する人が続出するだろう。

以下は、私が理想と考える2050年の日本社会である。

〈移民二世に対する日本語教育と母国語教育を実施する体制が整備され、日本人と移民のカップルをはじめ出身国を異にする人の間の結婚が当たり前の社会になっている。移民二世や異民族間結婚で生まれた子供など1000万人を超える国民が、日本語、親の出身国の言語、英語の三カ国語以上を話す『多言語社会』が成立している。多言語を駆使する日本人が世界各地で活躍している。〉