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日本移民政策史

 新型コロナウイルスの蔓延を境に日本と世界は展望の開けない時代に入った。欧米の移民大国が移民・難民の入国の門を閉ざす中、人類共同体論を展開した英文図書『JAPAN AS AN IMMIGRATION NATION』(移民国家日本)を起爆剤とし、私たちは人類共同体社会の実現をめざす。人類の未知の世界に目を大きく開く。

 人類共同体思想は移民国家理論の頂点を極めるものだ。世界の代表的知性が深遠な哲学に驚いた。移民政策論の白眉と評価した。人類史に新しいページを開いた坂中英徳が世界の移民政策の転換を迫る。人種差別を主張する勢力が我が物顔にふるまう現代文明の危機的状況を厳しく批判する。

 人類共同体社会の全体像を描いて移民国家創成論に魂が入った。たとえ現世に志を得なくとも、世界文明の革命が成らずして天命が尽きても、移民の新天地の創造を提唱する人類共同体哲学は世界の移民政策のあり方に深刻な影響が及ぶだろう。

 1975年の「今後の出入国管理行政のあり方について」という論文を筆頭に50冊ほどの移民政策関係の書籍をあらわした。日本の移民政策研究のパイオニアの道を歩んだ人生の軌跡を歴史に刻むのは私の使命だ。

 世界をリードする移民国家日本の誕生が視界に入った2021年。「移民政策の世界」の全体像を活写する時が来たとふるいたった 。以下のことについて縦横に論じた。
(1)在日朝鮮人政策と移民政策を論じた入管時代。(2)雌伏の時代が続いた移民政策研究所の所長時代。(3)移民国家の創建が視界に入った令和時代。(4)人類共同体哲学が脚光を浴びる22世紀の地球市民時代。

 畢生の大作「日本移民政策史」において、移民政策研究の第一人者が何を目指したのか、何を考えたのか、何を実現したのか、何を課題として残したのかなど、移民政策の最前線を筆一本で駆け抜けた人生を綴った。会心の作である。昭和・平成・令和の三代を生きた革命家の「時代の証言」の意義もあると思う。
近い将来、世界の日本研究者が坂中英徳人物論を試みるだろう。その場合の基本文献として使用されることを念頭に置き、歴史的事実を正確に引用するなど移民政策の森羅万象に迫った。

 この本は、人類共同体哲学の評価が定まる近未来には、移民社会の理想像を極めた文献として輝きを増すだろう。22世紀中に人類共同体社会を創る夢が現実味を帯びる可能性も考えられる。

 2021年7月23日の夜。人種・民族・宗教の異なる若人が東京に集まった東京オリンピック2020の開会式の感動にひたりながら「はじめに」を書き始めた。この場を借りて東京五輪開催の人類史的意義を強調しておきたい。「コロナウイルスが猛威を振るう最中の東京オリンピックの開催は、世界の人々が『人類は一つの感情』を共有し、人類が人類共同体社会の創造へ向かう歴史的第一歩になった」